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梅干しは日本のスーパーフード
梅干しはおにぎりやお弁当の定番として日本で伝統的に愛されている食材ですよね。そんな梅干しがいま世界中からジャパニーズスーパーフードとして注目されています!(→『海外で今大注目の「ジャパニーズスーパーフード」って何?』)
今回は梅干しについてご紹介します。
そもそも梅干しとは
梅干しとは、完熟した梅の実を塩漬けして天日で干したもののことを指します。梅はバラ科アンズ属の植物で、中国から日本に渡ってきたと言われています。日本では約7〜8割が和歌山県で生産され、その他群馬県や福井県などで生産されています。
梅干しには通常完熟した黄色い梅が使用されます。硬めの梅干しを作る場合は少し青めのものを使用し、カリカリ梅も青みのある小梅を使用します。未熟な梅の種には有害な成分が含まれており、生のまま食べることはできません。加熱するか、アルコール漬けや塩漬けにすることで食べられるようになります。
梅は、本来は食用というより漢方のように利用されていたそうで、平安時代には村上天皇の病気が梅干しと昆布茶で回復したという記録が残っています。
現在の梅干しのように一般的に食べられるようになったのは江戸時代だと言われています。
意外と多い梅干しの種類
梅干しというとスーパーで漬物売り場に売っているあの一般的な梅干しを想像しますが、梅の加工品には他にもカリカリ梅だったりはちみつ漬けであったり様々な種類があります。また、南高梅、豊後梅といった梅の品種も様々で、味・加工の種類×品種ぶんだけ梅干しの種類が存在することになります。
ここでは代表的なものをご紹介します。
梅干しの味付けの種類
白梅干し | 粗塩で漬け込んだ梅干し。最も一般的な梅干しです。 |
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赤じそ漬け | 塩漬けした梅干しに塩揉みして白梅酢につけた赤じそを加えて漬けたもの。白梅干しと違い赤く染まるだけでなく、しその風味が加わります。 |
はちみつ漬け | 白梅干しを塩抜きし、はちみつで味付けした梅干しのことです。はちみつで漬けたことによって、まろやかな甘酸っぱい味わいになります。 |
カリカリ梅 | 未熟な小梅を塩や赤じそで漬けただけの干していない梅。正確には梅干しではありません。 |
この他に、かつお出汁やこんぶ出汁で漬け込んだものなど地域によって様々な梅干しがあります。
梅の品種
南高梅 | 和歌山県の代表的な品種。「紀州南高梅」とも呼ばれ、高級品です。 粒が大きく皮が薄く肉厚で柔らかく、梅干しだけでなく梅酒、甘露煮など何にでも使うことができます。 |
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古城梅 | 南高梅より若干小ぶりな梅。梅酒には最高の品種です。梅干しには適していません。 実の青々とした美しさから「青いダイヤ」とも呼ばれています。 |
白加賀梅 | 関東に流通している梅は主にこの品種。群馬県で主に生産されています。 古城梅と同じくらいのサイズで果肉がしっかりしているため、梅干しに適しています。 |
豊後梅 | 杏との交雑種。「あんず梅」と呼ばれることもあります。粒が大きく、東北から九州にかけて広い地域で栽培されています。 |
甲州最小 | 名前の通りの小粒の梅。南高梅は1粒約25gなのに対し、甲州最小は約5gです。 梅干しはもちろんですが、カリカリ梅などに使われる品種です。 |
この他に、長束、藤五郎、養老などさまざまな地域で生産されている梅の品種があります。
梅干しの主な成分と特徴
梅干しには、レモンの約5〜6倍のクエン酸が含まれています。クエン酸は酸味成分で、梅干しが酸っぱいのも、このクエン酸が含まれているためです。クエン酸は唾液の分泌を促し食欲を増進するだけでなく、運動後などに蓄積されていく疲労物質である乳酸を分解するなどの働きをします。(参照:www.umekounou.com)
梅干しの注目すべき成分はクエン酸だけでなく、カテキン酸、ミネラルなども多く含まれています。
また酸っぱいことからよく酸性の食べ物と思われていますが、実はアルカリ性の食べ物です。人間の身体はもともとややアルカリ性で、肉や卵、穀物などの酸性食品を摂ると身体をアルカリ性に戻そうと身体の中のミネラルやカルシウムを消費します。そのため、アルカリ性の食品をバランス良くとることが推奨されています。
梅干しに摂取制限はあるの?
梅干しのアレルギー
一般的な種類の梅干しのアレルギーとしては梅アレルギーが考えられます。梅アレルギーは、梅だけに反応する人もいますが、同じバラ科の植物やりんごや桃、さくらんぼなどの果物などで症状がでる人もいます。アレルゲンは実の成分だけでなく、花粉やカビ、残留農薬なども考えられます。
症状は腹痛や下痢などの消化器系の不調、口や喉の痒みやヒリヒリとした痛み、腫れなどです。重症化すると、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。血液検査や皮膚検査などで調べることができるので、医師の診断をおすすめします。
その他梅干しの加工方法によりシソ、はちみつなどのアレルギーが考えられます。
妊娠している方は?
妊娠している方はすっぱいものを欲する人が多く、梅干しを食べたくなるそうです。特に摂取制限はありませんが、塩分には注意しましょう。妊婦が塩分を摂りすぎてしまうと妊娠中毒症などの危険性があります。塩分量はものによって上下しますが、目安は1日1〜2粒であれば問題ないでしょう。梅干しや塩分を多く含む食品を過剰に食べたしまう方は、医師とご相談ください。
梅干しの保存方法
梅干しの保存方法や消費期限を決めるのは梅干し中の塩分濃度です。ほとんどの市販品の梅干しには表のパッケージに◯◯%という感じで塩分濃度が書いてあります。塩には防腐・殺菌作用があるため塩分濃度が高ければ高いほど日持ちします。もともと梅干しは保存食として作られていたものなので、伝統的な作り方で保存食として作られた梅干しはそのままでも長持ちします。
スーパーで売っている梅干しの保管は注意が必要!
ただスーパーで並んでいる梅干しの多くは「調味梅干し」と呼ばれ、白梅干しを水に漬けて減塩処理を施した物に調味料で味付けしたものです。嗜好や減塩のものが好まれているためこのような商品がスーパーの梅干しの多くを占めます。これらの梅干しは塩分濃度が低く、保存食とは言えないため早めに消費する必要があります。
基本は冷蔵・密封容器で
白梅干しなど塩分18〜20%の梅干しの場合は常温保存(冷暗所)でも大丈夫です。ただし、しそを一緒に漬けている場合は冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
塩分が18%以下の梅干しは冷蔵保存しましょう。梅干しは腐らないと思われがちですが、塩分が低いものは塩の防腐作用が弱く保存性が良くないため雑菌が発生したりカビが生えることがあります。梅干しを長持ちさせるためには梅干しを保存容器から取り出す際に、清潔なお箸などを使いましょう。保存容器に雑菌が入ってしまうと梅干しが腐ってしまう原因になります。
また、保存容器は密封できるものを選びましょう。酸や塩気に強い陶器やガラス製の容器がおすすめ。プラスチック製の容器やジップロックのような密閉できる袋でも大丈夫です。ですが、金属製の容器やホーロー容器は金属の成分で梅干しの品質に影響してしまうため避けた方が良いでしょう。
梅干しの副産物も美味しい
梅干しをつくる際に同時にできる様々な副産物があり、それらも美味しいと話題です。
梅酢
梅干しをつくるとき塩漬けした際にあがってくる液体を「白梅酢」、赤じそをいれたあとに赤く染まった汁を「赤梅酢」といいます。つまり梅酢は名前に酢とつきますが、酢ではありません。梅酢には梅の栄養素がそのまま詰まっており、クエン酸やポリフェノールが豊富に含まれています。
梅酢はそのまま水や炭酸水で薄めて飲んでも、ドレッシングに混ぜても美味しくいただけます。また梅酢になすやきゅうり、山芋などを漬けると美味しいです。
また、うがいやシャンプーに混ぜて使用している人もいるそうです。
ゆかり
ふりかけとして有名なゆかりですが、実は梅干しを漬ける際の赤じそを乾燥させて粉末にしたものです。
オーガニックの梅干しを買いたい場合は?
Amazonでお手軽に買えちゃうオーガニック・無添加の梅干しをご紹介します!
南高梅 無農薬 無添加 有機栽培 無化学肥料 和歌山県産
和歌山の温暖な地で無農薬・無添加・有機栽培された厳選された紀州南高梅、奥熊野産山蜜(蜂蜜)を使用し濃厚な味わいです。塩分は約8%。
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オーサワの有機白干し梅干(700g)
有機JAS認定商品。奈良県産の有機栽培梅を内モンゴル産の塩だけで漬けたもの。大粒で肉厚、果肉が柔らかくて酸味がまろやかな梅本来の味の梅干しです。塩分は約18~20%。
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無農薬 有機栽培 紀州産 南高梅 紫蘇漬け
農薬・無添加・有機栽培された南高梅を、紀州串本の海水から作られた満月塩と天然の紫蘇で漬けこんだ梅干し。塩分は約23%。
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梅干しの手作り方法
こだわり派の方は梅干しも手作りしたいですよね!SNSを見ても、自家製梅干しの人が以外にたくさんいました!ぜひチャレンジしてみてください!ただし衛生管理だけはしっかりするようにしましょう!
材料と必要な道具
- 完熟梅 2kg
- 粗塩 360g(梅の重さに対して18%)
※お好みで!
- 赤じそ 200〜400g(梅の10〜20%)
- 赤じそ用の粗塩 36〜72g(赤じその18%)
作り方
①6月中旬くらいから出回る完熟梅(全体が黄色く梅の良い香りがする)のヘタを爪楊枝で取り除き、梅を洗い、清潔な布で梅の水気を取り除きます。
※傷んでいる梅があったら取り除き、その梅はジャムなどにしましょう。
②カビ防止のためにビンに霧吹きでエタノールか焼酎を吹きかけ、水気を取り除いた完熟梅と粗塩(2/3)を交互にできるだけ密着するように入れていきます。残りの粗塩(1/3)は最後に梅を覆うようにのせます。
この写真のようにビニール袋と水を重石の代わりに使用します。ビニール袋を2重にして水が漏れないようにしてから水を入れます。重石の上から霧吹きで焼酎を吹きかけるとカビの防止になります。
③数日すると梅酢が上がってきます。梅酢が上がる目安は2〜3日です。梅酢が上がってこないときは重石の水を増やすか20%の塩水を足します。4〜5日すると梅全体が梅酢に浸かるので、そしたら重石を梅の重量の1/2〜2/3くらいまで減らして大丈夫です。ただし、重石を軽くしても梅全体が梅酢に浸かるようにしましょう。
④赤じそは梅干しに赤い鮮やかな色と風味がつくので好みの方は一緒に漬けましょう。赤じその分量は、赤じその茎を取り除いた状態で梅の重量の10〜20%です。
赤じその茎を取り除き、水をためたボウルの中で洗います。ざるにあげて水気をしっかりきり、半日ほど乾かします。
赤じその18%の分量の塩を用意し、その半分の量の塩を赤じそにしっかりと揉み込み、アクを抜きます。手でギュッとしぼり出てきたアクは捨て、絞った赤じそに残りの半分の塩を加えまたしっかりと揉み込みます。出てきたアクをまた捨て、そこに梅酢を1カップ加えて、絞った赤じそをほぐします。
梅酢でほぐした赤じそ、赤じそで色が鮮やかになった梅酢を梅干しの容器にいっしょに漬けます。梅酢と赤じそがなじんで色が移るように、容器全体になじませ、はじめに漬けた梅の1/2〜2/3くらいの重さの重石をし、梅雨があける7月末くらいまで待ちます。
⑤晴れの日が続く日に土用干しを行います。大きなザルに一粒ずつ梅同士がくっつかないように間隔を空けて並べ、日当たりの良い場所に天日干しします。夕方には必ず室内に取り込みましょう。これを2〜4日間ほど繰り返します。2日目の夜に梅をひっくり返します。日中にひっくり返すとザルにひっついていることがあるので、必ず夜にひっくり返しましょう。
⑥シワがよってきたら保存瓶などにいれて冷暗所で保存しましょう。
また、土用干しのあとに再び梅酢に戻す方法もあります。この場合、梅酢に戻さずに保存するより酸味が強くなります。どちらの場合も3ヶ月ほど冷暗所で保存した後に、食べごろになります。
おすすめの梅干しのレシピ
梅をつかったご飯のすすむ美味しいレシピをご紹介します!
梅なめたけ
作り方
えのき茸をちょうどいい大きさに切り、材料を混ぜて軽く火を通すだけの簡単レシピです!
筆者も作ってみたのですが、簡単にすっぱくておいしいなめたけが出来上がりました!
かつおぶしの風味がアクセントになります。
詳しいレシピはこちら
鰯の梅生姜煮
作り方
鰯と梅干し、酢やみりん、醤油などの調味料を骨が柔らかくなるまで約30分煮込むだけ!
とっても簡単なのに美味しいおかずの完成!
詳しいレシピはこちら
イカや鶏肉など、ほかの食材にも応用可能でとても美味しいです!
梅味噌汁
混ぜるだけレシピ、梅味噌汁。冷蔵庫に味噌がない人は即席味噌汁に梅干し(+鰹節)を入れてもいいかも。暑い日にも超お手軽にサッパリ飲めて、味噌とクエン酸が疲れに効くのです! pic.twitter.com/xPia4BEoBR
— ひづき夜宵❄3日目シ72a (@hiduki_8kd) 2016年5月18日
このツイッターから梅味噌汁の人気がジワジワきているのだとか。
味噌もジャパニーズスーパーフードとして注目されているので、この組み合わせは究極かもしれません。(→『日本のスーパーフード「味噌」についてまとめてみた!』)
いかがでしたか?
ごはんに梅干しが1個入ったお弁当を日の丸弁当というように、日本食の定番中の定番の梅干し。SNSなどを見てみると結構手作りされている方が多いようでした。手間がかかってもその分美味しくて栄養のあるものができあがるのは良いですよね!市販のものは添加物が結構入っているものもあるので、確認してみることをおすすめします。