ローフード生活をするということは、ずっと生野菜や果物を食べることだと思っていませんか?ディハイドレーターを使って食材を正しく加工すれば、パンやお菓子なども作れます。
今回はローフード生活をより楽しむためのツール、ディハイドレーターを紹介します。
ディハイドレーターとは
ディハイドレーターとは温風を食材に吹き付けて水分を蒸発させる食材乾燥機です。
ディハイドレーターは英語で「dehydrator」と書きます。「De」は取り除く、分離する、「hydrate」は潤いを与えるという意味です。「Dehydrator」は直訳すると、潤いを取り除く機械です。ディハイドレーターは食材の水分を蒸発させ、乾燥させることによって、栄養分や酵素を破壊せずに加工します。送風の温度設定ができるので、天候に左右される天日干しや自然乾燥より、確実に乾燥できる安心感があります。
ディハイドレーターを使う理由
ディハイドレーターを使うことによって、ローフードのレパートリーが増えることが一つのメリットです。一般的にはローフードとは食材をロー(生)で食べる場合、あるいは46℃〜48℃以下*で加熱した料理を指します。切り方を工夫することで、野菜や果物を生で食べることはできますが、ずっと青果ばかりに食事だと単調で飽きてしまいます。ディハイドレーターがあれば、ローブレッドやロークッキー、ロークラッカーなど市販だと高価で手の込んだ料理を家庭で作ることができ、ローフード生活の幅が広がります。
ディハイドレーターは、野菜や果物の保存にも適しています。正しい乾燥方法と保存環境が整っていれば、食材を腐らせることなく年単位で保管できます。沢山の新鮮な食材を収穫できるけれど、消費が追いつかない農家や自家菜園を育てている人にとっては便利な道具です。自宅で野菜チップスやドライフルーツなどの健康的なおやつを作れます。また、肉類や魚類を乾燥させ、ジャーキーに加工することも可能です。
*「ロー(生)」と判断される温度は定義によって異なります
自然乾燥じゃダメなの?
太陽のチカラで乾燥させる天日干しは気持ちの良いものですが、基本的には正しい知識と経験のある業者に任せましょう。
もしどうしても家庭で天日干しをしたいという方は冬に行って下さい。
日本の気候では天日干しや陰干しで食品を(比較的)安全に加工できる時期は冬のみとなります。
一般家庭での夏の天日干しは腐敗や体に有毒なカビが発生してしまう可能性が高いので厳禁です。
ディハイドレーターを使用すれば一年中同じ品質のものが作れます。
乾燥食材を家庭で作る場合のポイントは「可能な限り早く食材から水分を抜く」ことです。
食材に水分が含まれれば含まれるほど腐敗する可能性は高くなります。ディハイドレーターは気候に関係なく一定のスピードで食材を乾燥させることができるのが一番のメリットです。
安全を第一に考えるのであればすばやく加工できるディハイドレーターを使用しましょう。
小さなお子様に食べさせるものなのであればなおさらディハイドレーターを使用して下さい。
おすすめディハイドレーターメーカー/商品
ディハイドレーターはビーフジャーキーなどでドライフード文化が出来上がっているアメリカの製品が多いです。日本での取扱は豊富とは言えないため、ものによっては並行輸入品を購入する必要が出てきます。
Excalibur社(アメリカ)
アメリカのカルフォルニア州に拠点を置くExcalibur(エクスカリバー)社は、1973年より乾燥関連の機器や器具を作り続けている歴史ある会社です。独自開発のテクノロジーを使い、効率的に乾燥する機能を搭載した製品を生み出し続けてきました。
次に紹介するNescoとトップシェア争いをしています。パワー重視のNesco製品に対してバランスの良いのがExcaliburです。
Excalibur社のディハイドレーターの特徴は、温風を発生させるファンと温度計をトレーの後ろと一番下に設置し、温風を効率的にディハイドレーター内に行き渡らせ、乾燥時間を短縮させるParallexx®水平気流の特許を持っていることです。また、内部が半乾きにならないようにHyperwave™テクノロジーという温風温度を自動調節し、食材の外側と内側の水分を十分に蒸発させ、しっかり乾燥させる技術をディハイドレーターに搭載しています。
4トレーのコンパクトサイズから10トレー入る大容量なもの、プラスチックやステンレススチールの外装、タイマー付きなど様々な形態のディハイドレーターを取りそろえています。また業者用のディハイドレーターも製造しています。Excalibur製品はトーエイ工業株式会社が取り扱っており、こちらが日本国内での正規代理店です。
エクスカリバーの主なデメリットがあるとしたら、価格が高いという点でしょう。そのためはじめての1台としては次にご紹介するNescoでも問題無いと思います。
金額は気にしないので、後で買い直しが必要無いように一番良いものを買いたいという方はエクスカリバーを買っておきましょう。
NESCO社(アメリカ)
アメリカのウィスコンシン州に本社を置くのがNESCOです。オーブンやスライサー、グラインダーなど、様々なキッチン家電を開発、販売しています。その中にディハイドレーターも含まれています。丸い炊飯器のような形をしている製品が多く、スタイリッシュでデザイン性の高い製品を製造しています。温度調整とタイマー機能がついていて、細かな調整が可能です。NESCOの製品は消費電力は高いですが、パワー重視の方でしたらNESCO一択ではないでしょうか。
こちらも様々なタイプのディハイドレーターがあるため、自分に合った一台が見つかります。
なおNESCOのディハイドレーターの特徴として、追加アクセサリーとしてトレーを購入でき、どんどん上に重ねていくことができるという点があります。この追加トレーは他の箱型ディハイドレーターだと構造的に不可能なので、よく考えられた商品だと感心してしまいます。
なお型番によってトレーの形が若干変わったりしますので、追加のトレーを購入する時は使用できる型番に注意して購入しましょう!
こちらもAmazonで並行輸入品を購入できます。
SEDONA RAWFOOD DEHYDRATOR(Tribest社)
Tribest(トリベスト)社はアメリカのカルフォルニア州に拠点を置くキッチン用品を幅広く扱う会社です。中でも人気のあるSEDONA RAW FOOD DEHYDRATORを日本国内正規代理店が販売をしています。このディハイドレータの特徴は、9枚トレーが入る大きな容量だけれども日本のキッチンに収まる大きすぎないサイズの家電であることです。ただSEDONAのディハイドレーターは消費電力(=パワー)に対して中のキャパシティが多いのが災いしてか乾燥にかなり時間がかかるのでスピードを重視するかたは他社の製品をおすすめします。スタイリッシュなデザインやワンタッチ・デジタルコントロールパネル、夜間の運転音を軽減するナイトモード搭載など様々な機能が搭載されています。正規ルート品は現在入荷待ちなので、手に入るまで時間が少しかかるかもしれません。
Dry Food Air(株式会社誉)
www.e-homare.com
ディハイドレーターは殆どのメーカーがアメリカ産ですが、日本国内で開発されたディハイドレーターも存在しています。株式会社誉のDry Food Airは、ディハイドレーターの乾燥機能だけではなく、送風、オーブン機能も搭載されている多機能調理器です。何台も家電を購入しなくてすむ優れもので、電子レンジのような電磁波を発生しないのも特徴です。日本のキッチンサイズに収まるように設計されて、場所を大きくとりません。5枚のトレーという程よい大きさで、シンプルな操作パネルで細かい温度設定が可能なので、使い勝手は良さそうですね。使用したことが無いのでパワーや乾燥速度はわかりません(が、送風が30Wで省電力って言うならそれもう扇風機でいいんじゃないですかね・・・。)
比較表
Excaliber | NESCO | SEDONA | DRY FOOD AIR | |
---|---|---|---|---|
重量 | 3.6kg〜30kg | 3kg〜 | 10.6kg | 5.82kg |
サイズ | 33cm×42cm×16.5cm(最小) 44.5cm×52.5cm×43cm(最大) | 様々なサイズ有り | 50cm×43cm×37cm (縦×横×高さ) | 48.7cm×35.8cm×30cm |
電圧/ヘルツ | 110V〜120V | 120V | 100V 50・60hz | - |
消費電力 | 220W〜600W | 1000W | 600W(300W×2) | 30W〜1200W |
トレー数 | 4〜10 | 4〜30 | 9 | 5 |
トレーサイズ | 15in.×15in. (38.1cm×38.1cm) | 15 1/2 in.(39.37cm / 直径) | 38cm×33cm×2cm (縦×横×高さ) | 27.5cm×34.8cm |
タイマー | 有り/無し (機種によって異なる) | - | 有り(1時間〜99時間) | 24時間 |
電源スイッチ | 無し(コンセント差し込みで稼働) | 無し(コンセント差し込みで稼働) | 有り | 有り |
温度 | 35°〜73° | 55℃〜60° | - | 30℃〜230℃ |
その他 | ・種類が豊富なため、自分の要望に合った一台が見つかる | ・トレーの追加ができるタイプもある | ・夜間の運転音を軽減するナイトモーターセッティング | ・デジタルタッチパネル付き ・乾燥/送風/オーブン機能付き |
自作ディハイドレーター?
ディハイドレーターを購入するのではなく、自分でディハイドレーターを作ることも可能です。ダンボールなどで風通しのよい密閉空間を作り、食材をのせる網などを設置し、布団乾燥機やサーキュレーターなどを使い送風することによって自作ディハイドレーターが出来上がります。ただし、これらは温度調節ができないので、ディハイドレーターより乾燥する時間がかかり、菌が繁殖しやすいので注意が必要です。また、食品衛生上、パンやクッキーなどを調理するのはおすすめしません。
自作ディハイドレーターの作り方の詳細は、「布団乾燥機 ディハイドレーター」、「サーキュレーター ディハイドレーター」などを検索してください。
また、一番お手軽なディハイドレーターは天日干しです。この手法は自作ディハイドレーター同様、ローブレッドやロークッキーを作るのに適してなく、完成まで数日から数週間ほど時間が必要ですが、お金をかけずに果物や野菜を加工できます。変色を防ぐためにレモン汁をかけたり、食塩につける手間は必要ですが、日の当たる場所に置くだけでドライフルーツやジャーキーなどのローフードができます。
ディハイドレーターの問題点
ディハイドレーターは家庭でローフードを作れるメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。
まずディハイドレーターは、食材を乾燥させるのにかなりの時間がかかります。Dry Food Airのディハイドレーターが紹介しているレシピだと、スライスしたキウイ、ライム、バナナ、パイナップル、グレープフルーツなどをドライフルーツにするには、合計23時間程度かかります。( 参考リンク )
フルーツスライスの厚みや食べ物の種類、送風温度によって乾燥時間は変わりますが、完全に乾燥するまで平均8時間前後かかります。ディハイドレーターの大きさにもよりますが、一度に作れる量が限られてしまうので、大量にドライフルーツなどのローフードを作りたい時は数日かかることが予想できます。夜寝る前に食材をセットするなどの工夫が必要です。
電気代という名のランニングコスト
ディハイドレーターは性質上、長時間使用する家電なので電気代がかかってしまいます。Dry Food Airのディハイドレーターの68℃で乾燥するモードで消費する電力は200W、48℃で送風するモードで消費する電力は30Wです。
200Wはだいたい1畳分の電気カーペット、あるいは600W〜1000W消費する家庭用ドライヤーの1/3〜1/5程度です。ディハイドレーターに使う電気量が多いかと感じるか、電気代以上のメリットがあるかを考えなければいけません。
電気料金が27円/kWh(税込)とすると、1日8時間乾燥モードを使用する際の料金は以下のようになります。
200(W)÷ 1000(kWh)× 27(円)× 8(時間)=43.2円
ただディハイドレーターは商品電力=パワーと言っても過言ではないので、単純に消費Wが少ないからと言って省エネというわけではありません。200W消費するディハイドレーターより1000Wのディハイドレーターのが強力なのは間違ありません。
個人的には衛生面から考え強力なパワーで短時間で仕上げるのをおすすめします。
ぶっちゃけ省エネを謳ってても結局稼働時間が長くなるので計消費電力はそこまで変わりません。
ただ1000Wとなるとエアコンや掃除機と同じくらいの消費電力となるのでそれを数時間つけっぱなしにするとなるとかなりの電力を消費することは間違いないでしょう。
さらにディハイドレーター本体は、オーブンレンジや冷蔵庫に匹敵するくらいの価格です。
簡単に購入できる一般家電ではないので、日常的に使わない人だと代金の元を取るのに時間がかかってしまいます。
初期投資費用とランニングコストをきちんと考えた上で購入するのが良いと思います。
なるべく早く乾燥させるコツは?
食材を薄めに切り、高パワーで運転することです。
自分の満足できる噛みごたえはどの薄さまでなのかを試行錯誤するのが良いでしょう。
どれだけディハイドレーターのパワーが強くても、厚めにスライスしていては水分を飛ばすのは非常に難しくなります。
さらに後述しますがローフードと言える温度で乾燥させる場合、温度と食材から発生する水分で雑菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
なるべく薄く切り、ハイパワーで短時間で乾燥させるのをおすすめします。
ディハイドレーターの中は雑菌が繁殖しやすい環境なので管理に注意!
さらにディハイドレーターの温度はカビや菌の繁殖に最適な環境を作ります。使い方や食材の下準備によって、食材に付いている菌を繁殖させてしまい、足を早めてしまう可能性があります。カビなどの繁殖を防ぐには、一度ディハイドレーターを加熱してから(155°F/68℃)温度を下げる(118〜114°F/48〜45℃)必要があります。68℃まで加熱している間、食材をディハイドレーターに入れていてもローのままです。ディハイドレーター内部が熱されていても食材は48℃以上に加熱していないので、栄養素や酵素は壊れません。
ディハイドレーターを使った簡単おすすめレシピ
ディハイドレーターでは、食材を乾燥させるドライフルーツや野菜チップス、ジャーキーはもちろん、通常加熱しなければ作れないパンやクッキー、パンケーキを作れます。材料とフードプロセッサー、ディハイドレーターさえあればローフードを作れる簡単レシピを紹介します。
Raw Vegan Superfood Bread(ロービーガン スーパーフードブレッド)
参考:rawfoodrecipes.com
卵、乳製品、イースト不使用なローブレッド。このレシピではチアシードやオオバコの殻などのスーパーフードを混ぜており、焼いたパンより多様な栄養分が入っています。お好みのハーブやドライフルーツを入れて、オリジナルのローブレッドを作ってみませんか?
必要な道具
・フードプロセッサー
・ディハイドレーター
材料
インスタントオーツ | 90g |
水 | 260ml |
パンプキンシード | 200g |
アーモンド | 100g |
オオバコの殻(psyllium husk) | 45g |
チアシード | 30g |
好みのイタリアンハーブ | 30g |
塩/コショウ | 少々 |
※インスタントオーツはデンプンのアルファ化処理のために加熱処理されたものなので厳密にはローフードではありませんが、栄養価が高いので是非使用しましょう。
普通のロールドオーツを使用するとβデンプンでお腹を壊しますので注意!
作り方
1. フードプロセッサーでアーモンドを粗く砕きます。アーモンドを細かく砕き過ぎないように気をつけます。
2. ボウルに1と残りの材料を混ぜます。
3. 2の生地をひと塊にまとめ、食パン1斤のように形を整えます。好みの幅に切ります。
4. 切ったスライスをディハイドレーターペーパーに乗せ、3時間を目安に生地がまとまるまで乾燥します。
ローバナナパンケーキ
参考: rawfoodrecipes.com
ディハイドレーターで柔らかいパンケーキも作れます。材料を混ぜて乾燥させるだけで簡単に作ることができ、乾燥度合いによって食感が変わるローパンケーキに挑戦してはいかがでしょうか!
必要な道具
・フードプロセッサー
・ディハイドレーター
材料
約5枚分
バナナ(大) | 1本 |
ローそば粉 | 25g |
亜麻仁粉 | 大さじ1杯 |
シナモン | 小さじ1杯 |
アーモンドミルク | 60ml |
作り方
1. 材料を全部フードプロセッサーで混ぜます。パンケーキミックスを溶いたようなとろみがでる程度に混ぜます。
生地が固いようであれば、追加でアーモンドミルクを少しずつ加えてください。
2. ディハイドレーターペーパーに乗せ、片側を46℃で約2時間半乾燥させます。
3. フライ返しでひっくり返し、もう片側も46℃で約2時間半乾燥させます。
※乾燥させすぎに注意!パンケーキではなく、クラッカーになってしまいます。
Oatmeal Raisin Cookies(オートミールレーズンクッキー)
アメリカで定番のオートミールレーズンクッキーはバターと卵を使わなくても作れます。りんごのピューレとココナッツオイルをつなぎに使い、アガベシロップの量で甘さを調節できる簡単レシピです。
必要な道具
・フードプロセッサー
・ディハイドレーター
材料
インスタントオーツ | 40g |
エンバク粉 | 25g |
りんごのピューレ | 50g |
ココナッツオイル | 30ml |
アガベシロップ | 大さじ1杯 |
レーズン | 40g |
シナモン | 少々 / お好みで |
ナツメグ | 少々 / お好みで |
クローブパウダー | 少々 / お好みで |
作り方
1. りんごのピューレを作るために、りんごをフードプロセッサーでソース状にします。
2. ボウルに1.とその他の材料を混ぜます。
3. 形を整え、ディハイドレーターペーパーに乗せます。60℃で45分、46℃で6〜7時間乾燥させます。
まとめ
いかがでしたでしょうか!
正直ディハイドレーターで食材を乾燥させるのは結構手間なので、買って2,3回使用して放置する方も多いです。
本体も大きく物置に置くにしても場所も取るのでまず1台目は1万円以下の安いディハイドレーターで試してみるのが良いと思います。
続けれそうと思ったら高機能なディハイドレーターも是非試してみてください!