サラダやスムージーに人気の赤い野菜「ビーツ」とは?

サラダやスムージーに人気の赤い野菜「ビーツ」とは?
2018年1月17日 栢下さえり
In フード全般
ビート

欧米、特にイギリスで大注目を浴びている野菜・ビーツ。日本ではまだあまり馴染みがありませんが、実はとても豊富な栄養素を持ったスーパーフードなのです。

ビーツとは?

真っ赤な色が特徴的なビーツ。根の部分を輪切りにすると年輪のような綺麗な輪紋が見えます。ウクライナやロシアの伝統料理・ボルシチによく用いられる西洋野菜で、ボルシチの鮮やかな深紅色は、このビーツの持つ色素によって染め上げられているのです。

ほうれん草の仲間

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ビーツはカブのような形をしていますが、実はヒユ科アカザ亜科フダンソウ属の食物で、ほうれん草の仲間です。手に持つと土臭さがあります。味は甘く、さつまいもやニンジンとともに野菜の中でも最も甘いものに分類されますが、カロリーは低くコレステロールもほぼありません。
旬は初夏と秋で、成長すると全長60〜80cmの高さになります。

ビーツの歴史

ビーツは約4000年前に地中海沿岸で栽培が始まったと言われています。古代ローマ時代には根と葉が食用に使われ、発熱や便秘の特効薬として使われてきました。中世からは消化器系、血液系の病を治療するのに用いられてきたといわれています。
現在の赤いビーツは16世紀にドイツで栽培が始まったと言われており、日本には江戸時代に伝わりましたが当時はあまり普及せず、明治初期に再度日本に伝えられました。和名では火焔菜(カエンサイ)と呼ばれ、その燃えるような赤色が名前の由来とされています。

英語での呼び名はビーツ?

英語ではbeetroot(ビートルート)、red beet(レッドビート)、table beet(テーブルビート)、または単にbeet(ビート)と呼ばれ、このbeetにsをつけた複数形「beets」が日本で馴染みのある「ビーツ」です。
日本で「ビート」というとシュガービート(テンサイ)のことを指すことが多いです。野菜のビーツがどうして日本語でbeetにsをつけた複数形で呼ばれるようになったのかについて文献が見当たりませんでしたが、シュガービートと区別するためなのかもしれません。

ビーツの種類

ビーツはアカザ亜科フダンソウ属に属しています。
フダンソウ属は紀元前6世紀頃から人間に利用されていました。当時は葉を食用としてのみ利用してきましたが、根の部分を利用するためのテーブルビート(いわゆるビーツ)が品種改良で生まれ、15世紀頃にさらに根が肥大したシュガービート(テンサイ)が栽培され始めました。つまりフダンソウ→ビーツ→テンサイという形で派生していきました。
食用のビーツの種類は主に以下の3種類です。

  • テーブルビート(ヒユ科アカザ亜科フダンソウ属ビート亜種)
    …根の部分が食用とされます。ボルシチで使われるのもこのビートです。
     この記事で主に扱うのもこの「ビーツ」です。
  • リーフビート(ヒユ科アカザ亜科フダンソウ属フダンソウ種)
    …葉を食用にするもので、フダンソウとも呼ばれるテーブルビートの祖先です。ほうれん草と同じように調理できます。
  • シュガービート(ヒユ科アカザ亜科フダンソウ属テンサイ種
    …砂糖の原材料となるもので、日本では甜菜(テンサイ)やサトウダイコンとして知られます。サトウキビを栽培することのできない寒冷地で使われ、日本では主に北海道で栽培されています。




気になるビーツの栄養価は?

ビーツは「飲む血液」と呼ばれるほど、ミネラルが豊富な野菜です。リン、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、カルシウムをたっぷり含んでいます。
また、他には以下のような栄養素が含まれています。

  • ポリフェノール
  • 食物繊維
  • ビタミンA・C
  • ベタイン
  • オリゴ糖
  • 葉酸

そして、ビーツの栄養素で特に注目されるのがNO(nitric oxide) 、つまり一酸化窒素です。一酸化窒素と聞くと車のガスなどを想像するかもしれませんが、人にとっては血管の筋肉を弛緩させ血流量を増やすなど、血管と心臓の維持に欠かせない物質です。といってもビーツに含まれているのはNOではなくNO3(硝酸塩)です。NO3(硝酸塩)を摂取することで体内で化学変化が起き、NOが生成されます。つまり、ビーツを食べることによって体内のNOを生成し増やすことができます。NOは食事や運動を通して体内で自然に作られる成分ですが、加齢とともに体内生産量が減少していくので、NO3を多く含む食物を食べることでNOを生成し、補うことができます。

ビーツの赤色は自然のものなの?

ビートジュース
ビーツやビーツを使った料理は不自然なほど赤いですが、ビーツが元々持つ色ですのでご安心下さい。
ビーツの赤色の色素はベタシアニンによるもので、強い抗酸化作用があります。
ブドウやブルーベリー、ブラックベリーなどアントシアニンの赤色色素を持つ野菜や果物は多いですが、ベタシアニンを持つ野菜はごくわずかです。
ちなみに、この色素は調理の際に衣服やまな板に付くと落ちにくいので、注意が必要です。手についた場合はレモン汁で落とすことができます。

ビーツの選び方

直径7〜8cmほどの丸いもので、表面に凹凸がなく滑らかで傷がないものを選びましょう。大きすぎるものだと実があまり詰まっていないこともあるので、一度手に持ってみてずっしりと質量があるものを選ぶと良いですね。ひげや泥が付いているものの方が新鮮です。

ビーツの保存方法

保存は冷蔵庫で。葉付きのものの場合は葉を付け根の部分から切り落とし、根の部分と分けてポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存します。
根の部分は1週間ほど、葉の部分は2日以内に調理するようにしましょう。

ビーツの食べ方

ビーツのサラダ

皮をむいたものは生で食べることができます。風味は甘く色も鮮やかなので、スライスしてサラダに加えるとアクセントになります。他にはピクルス、もしくはミキサーにかけてジュースやスムージーにするのがおすすめです。

調理

茹でるとさらに甘みが出ます。茹でる際には、切ってから茹でると赤色の色素が流れてしまうので、皮ごと丸ごと茹でるようにしましょう。また、アルミホイルで包んでオーブンでじっくり焼くのもおすすめです。

下処理

ビーツはアクが強いので、調理をするときに気になる場合は下処理をしましょう。

  • 鍋にビーツが浸るくらいのたっぷりの水と塩、酢を少々入れ、沸騰させる。
  • 沸騰したらビーツは皮をむかずに丸ごと入れて、20〜40分ほど弱火で煮る。竹串を刺し、スッと刺さるか刺さらないか、という程度になったら火を止める。
  • 茹で汁につけたまま冷ます。
  • お湯がぬるくなったら鍋から取り出し、皮をむく。

ビーツを使ったお勧め料理4選!





ボルシチ


ボルシチとは、ビーツ、玉ねぎ、人参、キャベツを炒めた牛肉などと一緒に煮込んで作る具だくさんのスープで、ウクライナの伝統的な家庭料理です。
ボルシチの色は赤いのですが、これはビーツの色素です。
ボルシチは意外に簡単に家庭でつくることができます。レシピはこちら

スムージー


スムージーを作る際にピーツを使えば、こんなにも色鮮やかになります。
甘いビーツはスムージーを飲みやすくしてくれるので、スムージーにおすすめの具材です。
レシピはこちら

サラダ


ビーツはチーズと相性が良いので、ルッコラ・ベビーリーフ・ゴートチーズなどと一緒にサラダにすると◎。
ビーツの赤がサラダの彩りのアクセントにもなります。
レシピはこちら

フムス


茹でたひよこ豆をオリーブオイルや練りごまなどとフードプロセッサーやミキサーなどで混ぜ合わせ、ペースト状にした料理であるフムスですが、ひよこ豆にビーツをプラスして、甘みのあるフムスに仕上げることができます。
ビーツフムスのレシピはこちら

いかがでしたか?

ビーツは日本ではまだあまり馴染みがない食材ですが、栄養素も豊富で魅力的な食材ですね!サラダに入れるなど、生活に少しずつ取り入れてみるのも良いかもしれません!