野菜の残留農薬を取り除く一番の方法とは?

野菜の残留農薬を取り除く一番の方法とは?
2016年10月5日 高橋 弥生
高橋 弥生
In Lifestyle

食の安全意識から有機栽培への意識は高まっているとはいえ、価格も通常より高いため、全てを無農薬のものにするというのはなかなかハードルが高いですよね。でも、残留農薬の問題など気になります。
今回は農薬について、残留農薬の取り除き方などを調べてみました。


農薬とは

Pesticide
そもそも、農薬とは何なのか。 農薬取締法では

「農薬」とは、「農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる植物成長調整剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」

とされています。農薬と定義されるのは以下の通りです。
 

殺虫剤 農作物を加害する害虫を防除する薬剤
殺菌剤 農作物を加害する病気を防除する薬剤
殺虫殺菌剤 農作物の害虫、病気を同時に防除する薬剤
除草剤 雑草を防除する薬剤
殺そ剤 農作物を加害するノネズミなどを防除する薬剤
植物成長調整剤 農作物の生育を促進したり、抑制する薬剤
誘引剤 主として害虫をにおいなどで誘き寄せる薬剤
展着剤 ほかの農薬と混合して用い、その農薬の付着性を高める薬剤
天敵 農作物を加害する害虫の天敵
微生物剤 微生物を用いて農作物を加害する害虫病気等を防除する剤

(参考:www.maff.go.jp
 
日本は高温多湿な気候から作物に虫がつきやすく、病害虫の有効な防除方法がなかった時代には病害虫の被害により作物が取れずたくさんの人が飢餓していたという歴史があります。
科学技術の進歩によって化学合成農薬が登場すると、収穫量の増大や農作業の効率化につながりました。しかし、農薬の中には人体に悪影響を及ぼすものや土壌への残留性が高いものがあることがわかり、昭和40年代には社会問題となりました。
そこで昭和46年に農薬取締法が改正され、「国民の健康の保護」と「国民の生活環境の保全」を目的規定とし、農薬登録の際にはほ乳類や土壌への毒性試験成績書の提出が義務付けられ、人に対する毒性が強い農薬の販売禁止や制限がなされました。
近年は生物由来の農薬の開発普及が進んでいます。
 
また、1992年に社団法人日本植物防疫協会が行った調査によると、一般的な栽培を行っていて病害虫防除対策を行わなかった場合、農作物の収穫量が大幅に減少することがわかっています。現在、農薬は絶対悪かのように言われる傾向にありますが、過去の歴史で病害虫に被害により飢饉の起きた日本では、農薬とうまく付き合っていくことで恩恵を受けているというのも事実なのです。
 
しかし、農薬は使い方を間違えると生物や環境に影響を与えてしまうというのも事実です。そのため農薬の安全性は、登録された農薬について定められた使用方法を遵守することで確保されています。
農薬の登録制度や検査の内容は、農林水産省のホームページに掲載されているので、関心のある人は一度見てみると良いでしょう。

残留農薬とは

Pesticide Spraying
農薬の恩恵を受けているということを理解したうえで、やはり気になるのは残留農薬でしょう。しかし、残留農薬という言葉はよく聞くし気にはなるけど、実際は漠然と「中国野菜は避けよう位しか対策してない!」「そもそも残留農薬の対策がわからない」って人も多いのではないでしょうか?
 
農薬は病害虫を防ぐ等の機能を発揮した後に消滅するものではないので、その農作物に付着したまま残ってしまった農薬を残留農薬といいます。作物の表面に散布された農薬は、大気中への蒸発したり、雨や風によって流されたり、光などによる分解などによって減少していきますが、一部は収穫時の作物に残留してしまうのが現状です。
先程も述べたとおり、農薬は登録の際に毒性試験成績の結果を提出が義務付けられています。その結果から、人がその農薬を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学的知見からみて健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量(ADI)と人がその農薬を24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量(ARfD)が設定されます。
最終的に農産物に残留する農薬の濃度を把握するために実施される作物残留試験で、その農薬の様々な食品を通じた長期的な摂取量の総計がADIの8割を超えないことと個別の食品からの短期的な摂取量がARfDを超えないことを確認し、そのうえで定められた使用方法に従って適正に使用した場合に残留し得る農薬の最大の濃度が、食品衛生法に基づき厚生労働大臣が定める「残留農薬基準」として設定されます。
 
う〜ん…正直難しいですね。要するに、農薬が人体や環境に与える影響を調査したうえで、残留農薬の基準が定められています。そのため、残留農薬があるとは言っても、人体に危険なほどは残っていないのです。
ですが、あくまでも”現在の科学的知見からみて”と言わざるをえません。農薬が人体に与える影響はわかっているので、やはり少しでも摂取する量は減らしたいですよね。以下では、残留農薬を除去する方法を紹介していきます。

残留農薬を落とす方法は

bio
色々調べてみるとネット上では以下のようにして残留農薬対策をしている人が多いようです。

  1. 外側の葉を取る・皮を剥く
  2. 流水ですすぎ洗いをする
  3. 茹でこぼす
  4. 食品用洗剤で洗う
  5. 酢水、塩水、重曹水につける

これでどのように残留農薬対策ができるのでしょうか。一つ一つに着目していきたいと思います。

①外側の葉を取る・皮を剥く

白菜・レタス・キャベツなど、葉が重なりあう野菜やネギ類は、外側の葉を取るだけでかなりの残留農薬を落とすことができます。また、皮のついている野菜(じゃがいも、ニンジン、かぼちゃ、りんご等)も、皮を剥くだけで表面についた農薬を除去することになるので、これだけでかなり対策できると言えそうです。

②流水ですすぎ洗いをする

皮の付近は栄養が高いと言われていますよね!そのため、皮まで食べたいという人も多いでしょう。その場合は、流水でしっかり洗いましょう。ボウルに水をはって洗うのではなく流水をつかうことで、水に溶け出した農薬が再び野菜に付くことなく洗いながすことができます。また、野菜の表面が硬いものは柔らかいスポンジなどを使って洗うと良いそうです。

③茹でこぼす

小松菜やサニーレタスなどの、皮をむくことのできない野菜はこの方法がおすすめ。
沸騰後2〜3分茹でてお湯を捨てます。野菜のアク抜きと同時にでき、残留農薬を減らす効果も高いです。この方法だと、洗い流すだけでは落とせなかった浸透した残留農薬も落ちやすいです。野菜を細かくきってから茹でるとより効果が高いそう。
茹ですぎると野菜の栄養分まで出してしまうので、茹ですぎ注意です!
 
①〜③の野菜別の方法はこちら。

キャベツ・レタスなどの葉物 外側の1.2枚の葉は捨て、流水でよく洗う。
にんじん たわしなどで泥をおとして皮をむく。
トマト 害虫には弱いので農薬多めの野菜の一つ。
おしりの部分に十字で切れ目を入れ、沸騰したお湯に15秒つけ、湯むきする。
じゃがいも スポンジなどでこすり洗いをして、芽をとり、皮を普通に剥く。皮を厚く剥く必要はない。
切ったあと、水にさらすのも良い。
たまねぎ 茶色の皮を剥く。きになる人はその下のやや緑色の部分も剥く。
きゅうり 流水でよくこすって洗い、まな板にのせて塩を振り、転がす。

④食品用洗剤で洗う

野菜の残留農薬をしっかり落とし、食中毒菌の除去ができる食品用洗剤というものも現在多数発売されています。ホタテ由来の野菜洗浄用の洗剤は、農薬の使用量が世界で最も多い中国で一般的に使用されています。
しかし、食品用洗剤は強アルカリによって農薬を中和するというものもあり、問題視する人もいます。食べ物を洗うものなので、自然由来のものがおすすめです。

⑤酢水、塩水、重曹水につける

水洗いは落ちている感じがしないけど、洗剤で洗うということに抵抗がある!という人も多いでしょう。その場合はこの方法がおすすめです。
酢水や塩水は、アク抜きにつかうと思いますよね。そのとおりで、アク抜きには水分と一緒に残留農薬を排出する作用があるそうです。
 
また「重曹水に漬ける」というのは、もともとアメリカの家庭で残留農薬を落とす方法として使われていたそうです。水をはったボウルに重曹大さじ1杯いれて1分ほどつけます。この際に使う重曹は必ず食品用を使いましょう。(重曹には掃除用もあるので注意。)

残留農薬はどのくらい取り除けるのか

愛知県衛研が2004年に残留農薬がどのくらい取り除けるのかに関する調査結果を発表しました。
その調査結果は、以下の通りです。
 

皮むき 脂溶性の高い農薬は作物表皮に浸透するため、皮むきによる減少率は全体的に高かった。
水溶性の農薬は作物内部に移行しやすいため、減少率は低かった。
特に、きゅうりや桃などの皮が薄いものの減少率は低かった。
キャベツ等の野菜は外葉2枚に残留しているものが9割以上なので、外葉を取り除くことで大きく減少した。
平均減少率は88%
こすり洗い 物理歴に表面に付着したものは取り除けるが、水溶性の農薬は作物内部に移行しやすく減少率は低かった。
平均減少率は10%
茹でこぼし 水溶性の高い農薬は減少率が高く、脂溶性の高い農薬は減少率が低かった。
茹でこぼしによる減少率には、農薬の水への溶解性と熱にたいする安定性が関係していることがわかった。

参照:www.pref.aichi.jp

信頼できる食材を選ぶ

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上で紹介した方法では残留農薬をカットすることはできますが、完全に落とすというのは難しいです。残留農薬を完全に落とす方法がないとなると、そもそも論にはなりますが、農薬を使わないという選択肢になります。そのためにオーガニック野菜があるとも言えるでしょう。
また、生産者の顔が見える食材を選ぶというのも、食への安心につながります。信頼のできる生産者の作るものは、信頼を置くことができるためです。
食の安全のために自分が取るべき選択肢は何か、じっくりと考えてみるのも大事でしょう。