イーストとは違う?栄養豊富な「ニュートリショナルイースト」って一体何?

イーストとは違う?栄養豊富な「ニュートリショナルイースト」って一体何?
2020年2月28日 ローラン編集部
In フード全般

パンを発酵させる時に使うイーストというものを聞いたことがある方は多いと思います。ですが、栄養豊富なニュートリショナルイーストはご存知ですか? アメリカなどではメジャーになってきましたが、日本ではまだまだ聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。今回はそんなニュートリショナルイーストについて、スーパーフードの専門家がご紹介します。
乳製品を摂らないビーガンの方などにはチーズの代わりとして大人気ですが、ビーガンでなくても粉チーズ代わりに使うのはオススメですよ!

ニュートリショナルイーストとは

ニュートリショナルイーストNutritional(栄養の)Yeast(イースト)の名の通り、ニュートリショナルイーストはイースト(酵母)の一つです。ニュートリショナル(栄養)が冠してあるとおり、栄養が豊富なので食事の中で摂取するサプリメント的な扱いで、ビーガンやベジタリアンの人を中心に人気となっています。パンなどに使用されているイーストとの根本的な違いは、活性の違いです。

イーストは生きている酵母・ニュートリショナルイーストは失活させた酵母

ニュートリショナルイーストは、他のイースト(酵母)と同じように、酵母菌から作られています。サトウキビや糖蜜につく出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を採取したあと、洗浄と乾燥し、加熱して失活させますこの失活の工程がいわゆる「イースト」との大きな違いです。失活させることによって、生きている酵母のようにそれ以上の発酵はしなくなり、ナッツとチーズの風味がする旨味成分と栄養が豊富なスーパーフードになります。ニュートリショナルイーストは加工時に加熱をするので非加熱の「ローフード」ではありませんが、チーズの代替食品として、乳製品を口にしないヴィーガンには重宝されています

ニュートリショナルイースト:主な成分と特徴

ニュートリショナルイースト:主な成分と特徴
Nooch(ヌーチ)」とも呼ばれているニュートリショナルイーストは、ビタミンやミネラル、特にビタミンB郡が豊富に含まれています。酵母は単細胞微生物で糖類をもとに生きているため、生存するために必須で足りないアミノ酸やビタミンを生化学反応から自身で生成しています。そのため、栄養分が豊富なスーパーフードとして知られています。

ビタミン類やミネラルが豊富に含まれており、低脂肪、低糖質に加えグルテンフリーです。脂肪、糖類に比べてタンパク質が多いのが特徴です。

ただ、大部分のニュートリショナルイースト製品は栄養成分(主にビタミン)を追加で加えていることに注意して下さい。
ニュートリショナルイーストは植物由来の食物には含まれていないビタミンB12が入っていることで有名です。ただ、ニュートリショナルイーストの菌自身は、このビタミンを生成していません。ビタミンB12が入っているニュートリショナルイーストは、最終製造工程でビタミンB12を加えています。そのため、製品によってビタミンB12が入っている場合と入っていない場合があるので、成分内容を事前に確認することが必要です。また、ビタミンB12の摂取のためだけにニュートリショナルイーストを日常的に食べるのはあまりおすすめできませんが、栄養補強食としては優秀なので他の食材と一緒に食べることが良いと思います。

ニュートリショナルイースト栄養成分

イギリスの有名ブランドMarigoldのニュートリショナルイーストフレークの栄養成分を、ビタミン類が多いモロヘイヤとブロッコリーと比較しました。
 
栄養価比較

Engevita ニュートリショナルイースト
(フレーク/30g)
モロヘイヤ
(生/30g)
ブロッコリー
(生/30g)
タンパク質 13.5g 1.4g 1.3g
ビタミンB1 4.5mg 0.05mg 0.04mg
ビタミンB2 7.5mg 0.13mg 0.06mg
ビタミンB3 45mg 0.3mg 0.2mg
ビタミンB5 1.3mg 0.55mg 0.34mg
ビタミンB6 0.5mg 0.11mg 0.08mg
ビタミンB9 7pg 75μg 63μg
リン 360mg 33mg 27mg
1.3mg 0.3mg 0.3mg
マグネシウム 56mg 14mg 8mg
Engevitaのニュートリショナルイーストは、ビタミンB郡を強化していますが、ビタミンB12は強化していません。このように製品によって栄養成分が異なりますので、自分の食生活に合った食品を見つけることが大事になります。

ニュートリショナルイーストの食べ方

ニュートリショナルイーストの食べ方
ニュートリショナルイーストは元々ビーガンやベジタリアンのチーズ代わりとして広まってきたものですので、一番シンプルな食べ方は、サラダやスープ、パスタなどチーズをかけたら美味しそうな食べ物にかけるだけで美味しく食べられます。食事ににコクと旨味を加えつつ、タンパク質などの栄養も摂取出来ます。一日の摂取量はだいたい大さじ1杯(15g)が目安となっています。(商品によって異なりますので、商品に記載されている分量を目安に摂取して下さい)

ニュートリショナルイーストに摂取制限はあるの?

アメリカの栄養士Dr.ジョン・ウェスターダル氏によると、ニュートリショナルイーストはどの年代の人にも安全に食べられる食品とのことです。また、妊婦や妊娠初期にも摂取して問題無いとの事です。。ただ、酵母やイーストにアレルギーがある方は、ニュートリショナルイーストを食べない方がいいとのことです。

また、ニュートリショナルイーストはプリン体が多く含まれているため、痛風の方は避けた方がよいと思います。不安な場合はかかりつけの医師に相談することをおすすめします。

ニュートリショナルイースト製品はどこで購入できるの?

ニュートリショナルイーストは、フレーク状とパウダー状があり、日本国内ではネット通販で購入するのが一番楽だと思います。スーパーではまず見つかりません。

フレーク状のNYオススメ商品

ボブズレッドミル ニュートリショナル イースト

ボブズレッドミルのニュートリショナルイースト
オートミールやグルテンフリー食材で有名な、アメリカのボブズレッドミルのニュートリショナルイーストです。
ボブズレッドミルという安心感はやはり大きいですね。特にこだわりがなければ、フレークはこのボブズレッドミル、パウダーはあとでご紹介するアリサンのもので良いと思います。

Engevita Nutritional Yeast Flakes(125g フレーク)


栄養価のところでもご紹介したイギリスの有名ブランドのフレークです。缶なので使い勝手がよく品質も良いですが、日本に代理店が無いため現地で買うよりかなり価格が高くなっており、コスパは悪くなっています





パウダー状のNYオススメ商品

アリサン ニュートリショナルイースト(200g パウダー)

アリサンのニュートリショナルイースト
オーガニック・有機食材では国内最大商社のアリサンが販売しているニュートリショナルイーストです。アリサンという安心感がありますので、特にこだわりがない場合はパウダーでしたらこちらをおすすめします。

無添加のニュートリショナルイースト

KAL NUTRITIONAL YEAST fine flakes


無添加のニュートリショナルイーストが良い方はこちらがおすすめです。ラベルに表示されている「UNFORTIFIED」がビタミンの添加をしていないという意味です。アメリカはユタ州の専門会社が作っています。アイハーブで買うのが安いです。

栄養酵母

無添加で葉酸が含まれていない点が売りらしいですが、ちょっと売り文句が煽りすぎててあまり良い印象はうけないですね。
この商品によると、他のニュートリショナルイーストは

「DNAの合成妨害」「DNA修復のメカニズムの妨害」「ノーマルな遺伝子のパターンを変える」「細胞の成長の速度を変える」「DNAエラーを引き起こす」「ガンになりやすくなる」

とのことです。
栄養補助食品」と名乗るくらいなら、ミネラルやビタミンの成分表も載せて欲しいところです。
あまりに煽っているので少し調べてみたら、情報ソースは15年以上前にBMJに寄稿された論文のみで、その論文も2020年2月の時点で引用数も23だけです。この論文を元にこれらを大々的に主張するのは「う〜んちょっとなあ」と個人的には思ってしまいました。