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味噌はジャパニーズスーパーフード!
『海外で今大注目の「ジャパニーズスーパーフード」って何?』という記事内でも紹介しましたが、今海外では、日本から海外に渡った「ジャパニーズスーパーフード」が注目されています!
今回はその中でも味噌について紹介していこうと思います。
味噌の歴史
味噌の起源は、古代中国の食品であり鳥獣の肉や魚を雑穀、麹、塩と漬け込んだ「魚醤」のような発酵食品である「醤」もしくは、大豆や雑穀と塩からつくられた発酵食品「豉」だとされており、7世紀頃に日本に伝えられたと言われています。(諸説あり)
平安時代は味噌は贅沢品として、食べ物につけたり舐めたりしてそのまま食べていました。味噌汁として食べられるようになったのは鎌倉時代。味噌汁の登場によって「一汁一菜(主食、汁もの、おかず、香の物)」という食事の基本スタイルが確立しました。庶民も食べられるようになったのは室町時代で、これは大豆の生産が増え、農民たちが保存食として自家製の味噌をつくるようになったためです。このように、貴重なたんぱく源であるとともに保存食としての機能も果たすことから戦国時代には、戦国武将たちの戦場での食料としても味噌は活躍しました。
味噌の種類
普段私達が生活していても感じるように、味噌の種類は多種多様です。そもそも味噌は、大豆、米や麦などの穀物を蒸し、食塩と麹を加えて発酵させた調味料です。そのため、発酵する際の微生物の働きが地域の気候や水質によって異なることや、歴史的に味噌がどのように扱われてきたのか(貴重品としてだったり、兵糧としてだったり)など、味噌が多種多様なことには様々な理由があります。様々な背景から生まれた味噌ですが、簡単に分類すると以下の4種類になります。
種類 | 原料 | 地域 |
---|---|---|
米味噌 | 米、大豆、塩。 白味噌も米味噌の一種。 | 国内で生産されているおよそ8割。 |
麦味噌 | 麦、大豆、塩。 | 中国、四国、九州地方が中心。 |
豆味噌 | 大豆、塩。 | 中京地方が中心。 |
調合味噌 | 米味噌、麦味噌、豆味噌の3種類、もしくは2種類を調合したもの。 米麹、麦麹、豆麹を混合したものを使用した味噌。 米味噌、麦味噌、豆味噌以外の味噌。 | ー |
(参照:marukome.co.jp)
この他の分類としては、色(赤味噌、白味噌、淡色系味噌など)や味(甘味噌、甘口味噌、辛口味噌)があります。
色は、大豆などの原料の種類、大豆を蒸すか煮るか、麹の量、発酵の際かき混ぜるかなど、様々な要因によって変わります。
味は、食塩の量はもちろんなのですが、原料の大豆に対する米や麦の比率によっても変わります。塩分が一定の場合、原料の大豆に対する米や麦の比率が高いほうが甘口になるそうです。
味噌:主な成分と特徴
「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」ということわざがあるとおり、味噌は昔からからだに良いイメージです。そこで、味噌の栄養価はどんなものなのか調べてみました。
可食部100g当たり | 米みそ/甘みそ | 米みそ/淡色辛みそ | 米みそ/赤色辛みそ | 麦みそ | 豆みそ | 即席みそ/粉末 | 即席みそ/ペースト | 減塩みそ | だし入りみそ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エネルギー | 217kcal | 192kcal | 186kcal | 198kcal | 217kcal | 343kcal | 131kcal | 192kcal | 194kcal |
たんぱく質 | 9.7g | 12.5g | 13.1g | 9.7g | 17.2g | 21.9g | 8.9g | 10.8g | 13.2g |
ビタミンB12 | 0.1μg | 0.1μg | Trμg | Trμg | Trμg | - | - | 0.1μg | 0.2μg |
ビタミンE(α) | 0.3mg | 0.6mg | 0.5mg | 0.4mg | 1.1mg | 0.7mg | 0.5mg | 0.6mg | 0.6mg |
カルシウム | 80mg | 100mg | 130mg | 80mg | 150mg | 85mg | 47mg | 63mg | 97mg |
カリウム | 340mg | 380mg | 440mg | 340mg | 930mg | 600mg | 310mg | 460mg | 370mg |
鉄 | 3.4mg | 4.0mg | 4.3mg | 3.0mg | 6.8mg | 2.8mg | 1.2mg | 1.6mg | 3.8mg |
食塩相当量 | 6.1g | 12.4g | 13.0g | 10.7g | 10.9g | 20.6g | 9.6g | 10.3g | 14.1g |
(参考:食品成分データベース)
味噌は大豆が発酵することにより、アミノ酸やビタミン類を多数生成し、とても栄養価が高いです。古来から貴重なたんぱく源とされていたとおり、たんぱく質を多く含み、そのほか、カルシウム、カリウム、鉄なども多く含んでます。
味噌の摂取制限はあるの?
味噌を食べるうえで一番気になるのは塩分でしょう。厚生労働省の1日の塩分摂取量目標値は男性8.0g、女性7.0gとされています。上記の主成分表は味噌100g当たりの塩分量なのでとても多いですが、日本高血圧学会によると味噌汁1杯あたりの塩分量は1.5gなのだそうです。これはハム3枚分(60g)と同じ量です。1食1杯の味噌汁を飲んだとしても、1.5g×3食=4.5gなので、まだ大丈夫です。ですが、他の食品にも塩分は含まれているので気になるという方は、具だくさんの味噌汁にしたり、出汁を丁寧にとることで味噌の使用量を減らしたり、味噌汁のお椀を子供用のものにしたり、減塩の味噌にすることで、減塩効果が期待できるそうです。(参考:jpnsh.jp)
味噌汁の塩分は血圧に影響しないという研究結果(ishiimiso.com)もありますが、心配な人は医者と相談しながら摂取することをおすすめします。
また、味噌には多数のアレルゲンが考えられます。大豆アレルギー、米アレルギー、麦アレルギーの人は摂取を控えましょう。じんましんがでたり、下痢や腹痛、最悪の場合、アナフィラキシーを起こし、意識障害を起こすことがあります。きちんと病院で検査を受けましょう。
妊婦さんは、妊娠中毒症などの予防のためにも塩分を控える必要があります。味噌漬けなどは塩分が高いため、摂りすぎに注意が必要です。医者に相談しながら摂取するのをおすすめします。
味噌の保存方法
味噌の保存のポイントは空気に触れないということと温度です。
空気に触れてしまうと菌が繁殖し、風味や味が変わってしまいます。また、空気にふれると表面が乾燥して固まる原因になります。
温度が高い場合は、発酵が進んでだんだんと茶色くなり、風味や味が変わってしまいます。
推奨される保存方法は、ラップなどでピッタリと覆い、冷蔵庫(5~8℃)に保管することです。冷蔵庫はスペースが…という場合は、冷凍庫でもOKです。味噌には塩が多く使われているため、冷凍庫に入れても凍ることがなく、少し固くはなりますが、冷凍庫から出してそのまま料理に使うことができます。
未開封の場合も、冷蔵もしくは冷凍保存がおすすめです。
味噌が変色してしまった場合でも、味噌炒めや味噌漬けなどの料理に活用すれば、食べることができます。カビが生えてしまった場合は、カビ周辺の味噌を取り除けば残りの味噌は食べることができます。また、開封して長い間置いておくと表面が白くなることがありますが、これはカビではなくチロシンというアミノ酸の結晶なので、無害です。ですが、気になる方も多いと思いますので、開封後はできるだけ早めに食べるようにしましょう。
好きな味噌汁の具は?
日本味噌株式会社の調査(nihonmiso.com)によると、一番好きな味噌汁の具の組み合わせランキングは以下の通りです。
- 豆腐+わかめ
- わかめ+じゃがいも
- 豆腐+油揚げ
- 豆腐+なめこ
- 豆腐+長ねぎ
- 油揚げ+だいこん
- じゃがいも+たまねぎ
- 豆腐+長ねぎ+油揚げ
- 豆腐+長ねぎ+わかめ
- 油揚げ+長ねぎ
自分の家の定番味噌汁はありましたか?
また、全国には様々なご当地味噌汁なるものが存在します。その一部を紹介します。
冷汁(宮崎)
冷たい味噌汁を冷ました飯・麦飯にかけて食べます。具は、手でほぐした豆腐、輪切りの胡瓜、千切りのシソ、みょうがなどです。暑い夏にも食べやすく夏バテ対策にピッタリなのだとか。
粕汁(大阪)
酒粕を溶かす味噌汁。具には、にんじん、大根などの野菜類や、魚、豚肉など様々で、鍋料理とも言われます。
三平汁(北海道)
昆布だしに、鮭、ニシン、鱈、ホッケなどの塩漬けや糠漬け、根菜類を一緒に煮たもの。昆布だし、鮭、ニシン、鱈、ホッケなどの魚を使用し、野菜が多いという共通点から石狩鍋と混同されやすいですが、三平汁は魚の塩漬けや糠漬けを使用し、魚自体の塩味で調理するのに対し、石狩鍋は生鮭を使用し、味噌仕立てで煮込む料理という違いがあります。
せんべい汁(青森・岩手)
B−1グランプリで優勝したことで有名です。鶏肉やごぼう、まいたけなどを入れ、最後に専用のせんべいをいれたら出来上がり。せんべいがもちもちになるのが絶品。
だご汁(熊本)
だごとは熊本弁で「だんご」のこと。豚肉、しいたけ、根菜などを入れて煮込み、味噌で味付けし、最後にこねただごを手でちぎって入れたもの。地域によっては味噌ベーズではなく、すまし汁のところもあります。
味噌を手作りしてみよう!
スローフードが流行したことから、味噌を手作りする人も増えているのだとか。味噌は手作りすると、出来上がりまでに約10ヶ月かかります。
味噌の手作り方法については『味噌を手作りして「手前味噌」を作ろう♪』をご覧ください。
いかがでしたか?
和食には欠かせない定番の味噌!世界も注目の味噌を様々な料理に活用して、これからも美味しくいただきたいですね!