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国際的に人気が出すぎたため、原産国で輸出禁止になったスーパー穀物!
イネ科の穀物であるテフ(teff)は日本では殆ど知らられていませんが、国際的に見るとキヌアやアマランサスなどと並んで注目を浴びている穀物です。テフはエチオピアが原産であり、エチオピア人の国民食です。日本でのお米のように、現地では主食として毎日のように食べられています。2000年代から国際的に注目を浴びはじめ、世界中の先進国の人々がその栄養素の高さからスーパーフードとして生活に取り入れ始めましたが、テフはエチオピア以外ではほとんど栽培が行われていないため、供給が不足し始めました。
そして2006年、エチオピア国民が国民食であるテフを食べられなくなる状況を危惧したエチオピア政府が、テフの輸出を禁止してしまいました。2015年まで禁輸措置が取られていたため日本ではまだほとんど知名度が無い穀物です。
テフはすべて全粒粉なので栄養満点!
テフはエチオピア原産のイネ科の植物です。このケシの実程の小さい種子は、何千年もの間エチオピア料理に使われており、彼らの特に国民食インジェラの原材料として有名です。
テフは、エチオピアの公用語のアムハラ語で「なくなる」という意味です。このような名前は、テフの種がとても小さく、落としたらなくしやすいということが語源です。例えばお米であれば収穫した後、もみがらなどを取り除き、できあがった玄米を精米して白米が出来上がります。対して直径が約0.7mmで世界で一番小さな穀物といわれているテフは、その小ささのため胚芽、ふすま、および胚乳を分けることができず、基本的には全て全粒粉となります。
実はこういった全粒粉は精製の段階で削ぎ落とされる栄養価をそのまま豊富に含んでいます。全粒粉であるテフはほぼ胚芽とふすまでできているためもちろん豊富で、全ての必須アミノ酸を全て含んでいると言われています。
テフはとても生命力があり、厳しい環境でも栽培できます。水浸しの土壌でも干ばつの時期でも育つので、重要な主食として栽培されてきました。他の穀物より病気にかかりにくいと言われています。また、海面から3,000メートルまでの高さであれば育つため、現在アメリカやオーストラリア、インドなどエチオピア以外での栽培が始まりつつあります。
テフは様々な品種があり、乳白色、赤、茶、黒など異なった種類のテフがあります。乳白色は栗のような風味で、濃い色の品種はヘーゼルナッツのような味がするといわれています。一番人気なのは乳白色の品種ですが、一番鉄分豊富な種類は赤色のテフです。
テフにはどんな栄養素が含まれているの?
テフは様々な栄養素を含んでおり、アミノ酸、タンパク質、鉄分、カルシウム、食物繊維などが豊富です。テフ粉は全粒粉の小麦よりカルシウムと鉄分の量が多くなっています。微量のグルテンを含んでいますが、グルテンアレルギーの方が食べても反応しない程度と言われており、グルテンフリー食材として知られています。
アメリカUSDAの栄養データベースよりテフを全粒小麦粉、パスタの原材料となるデュラム小麦と比べてみました。
テフ (未加熱/100g) |
全粒小麦粉 (未加熱/100g) |
デュラム小麦 (未加熱/100g) |
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炭水化物 | 73.13g | 71.97g | 71.13g |
タンパク質 | 13.30g | 13.21g | 13.68g |
脂質 | 2.38g | 2.5g | 2.47g |
食物繊維 | 8.0g | 10.7g | – |
カルシウム | 180mg | 34mg | 34mg |
鉄分 | 7.63mg | 3.6mg | 3.52mg |
マグネシウム | 184mg | 137mg | 144mg |
リン | 429mg | 357mg | 508mg |
カリウム | 427mg | 363mg | 431mg |
ナトリウム | 12mg | 2mg | 2mg |
マンガン | 9.240mg | – | – |
テフは、全粒粉やデュラム粉と同じような炭水化物量を持つので、主食としての要件を満たしています。小麦の全粒粉やデュラム粉はグルテンを含んでおり、対してテフはグルテンフリー食品なので、海外では小麦の代替食として人気となっています。また、タンパク質と脂質量はほぼ変わりませんが、ミネラルの内容量は小麦と比べテフのほうが圧倒的に多くなっています。表を見ると特にカルシウム、鉄分、マグネシウム量が多いのがわかります。
テフの食べ方
テフは、マイルドで豊かな風味を持つ食材です。
テフを食べたこと無い方は、まずはクレープ状のエチオピア国民食「インジェラを食べてみることをおすすめします。エチオピアの国民食である、平たいクレープのようなパンのインジェラはテフで生地を造ります。テフの穀物を製粉し、粉に水と酵母を加え4日ほど発酵させます。発酵が完了したら、油を引いた丸い鉄板に薄く流し、表面に気泡ができるまで焼いたら完成です。エチオピアでは、インジェラと一緒にワットという煮込み料理食べることが多いです。
ただかなり好みがわかれる味な上、初めての人が上手に発酵させるのは難しいようなのでインジェラを1度も食べたことのない状態で家庭でインジェラを作るのはおすすめできません。「正解の味」がわからないですからね。
1回で良いから、本物のインジェラを食べて欲しい
インジェラ、美味しいんですよ。筆者も2週間ほどエチオピアに滞在した時は、毎日のように食べていました。
現地でインジェラを実際に食べる前までは「ぞうきんの絞り汁のような味」という前評判を聞いていたのでかなり躊躇していたのですが、実際に現地で食べてみると普通に食べれるというか、むしろ美味しくて慣れると中毒性のあるような味でした。
筆者の思うに、インジェラが不評な理由はおそらく
・日本でインジェラを提供している店がほとんどなく
・インジェラを実際食べたことがあるのが実際にエチオピアに行ったことのある人のみで
・アフリカのエチオピアに行くのは発酵食にあまり慣れていない若い男性のバックパッカーばかりで
・屋台などの安い店で食べていた
ため起こった評価ではないかと思います。美味しいインジェラは本当に美味しいので、是非試してみてください。
テフを使ったインジェラを国内で食べられる店
都内在住であれば中目黒の「クイーンシーバ」というエチオピアレストランで食べることができます。
店名の由来は古代イスラエルのソロモン王と会った古代エチオピアのシバの女王から来ています。
夕方からのみの営業となりますが、行く価値はありますのでぜひ足を運んでみてください!
店舗名 | クィーン シーバ |
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住所 | 〒153-0043 東京都目黒区東山1-3-1 ネオアージュ中目黒B1 |
アクセス | 東急東横線中目黒駅 徒歩7分 |
電話番号 | 050-5861-7411 |
営業時間 | 月〜日 17:00~23:00 |
定休日 | 無し |
公式ページ | queensheba.info/about/jp |
SNS |
ご家庭の料理に使うのであれば
インジェラは発酵食ですので、気候や酵母の問題もあり現地の味を日本の家庭で再現するのはかなり難しいと言えます。なのでご家庭でテフを作るのは難しいでしょう。
テフを栄養価的にご家庭のレシピに取り入れたいのであれば、粉末のテフを小麦の全粒粉のように使用するのが一番手っ取り早いです。これであればテフの風味が効いた味になるだけですし、栄養価も丸々接種可能です。
また、スイーツとしてワッフルやブラウニーを作るときに、小麦粉に混ぜて使用するのもおすすめです。
できれば穀物用のグラインダーやミルサーで粉末にするのがおすすめですが、粉砕機がご家庭にない方はそのまま混ぜてしまっても大丈夫ですよ。テフの粒の食感は残ると言えば残りますが、テフは非常に小さい穀物ですのでそこまで食感が変わるわけでもありません。
テフの保存方法
開封後のテフは、密閉容器に入れ、冷暗所で保管してください。
調理済みのテフは冷蔵庫で保管し、数日以内に消費する必要があります。
テフに摂取制限はあるの?
鉄分やタンパク質、重要なビタミンとミネラルが多く含まれているので、子供にも食べてもらいたい食材です。今までテフへのアレルギー反応の報告はありません。また、妊婦や妊娠初期にも食べれます。古代種として何千年も食べてきましたが、詳しくは研究されていないので、もし特別不安があれば、医師へ相談してから摂取することをおすすめします。
テフ製品はどこで購入できるの?
アメリカ産など、原産地であるエチオピア産以外ののテフが出回るようになったため、現在では日本でも購入できるようになりました!ただ商品の選択肢はそこまで多くありません。終売になってしまうブランドも多いですので、できれば粉ではなく日持ちする全粒タイプを多めに買っておき、終売になっても良いようにしておくのがおすすめです。
テフは粉にしても良いですが、もともとの粒が非常に小さいためそのままでも調理可能です。
おすすめのテフ 全粒タイプ(ホワイト)
エチオピアで人気があるのはホワイトタイプのテフです。
ただテフは非常に小さいため、ホワイトタイプのものでもブラウンのものが混ざってしまうのは予め了承してから購入することにしましょう。(完全に分離させているテフ商品はおそらく世界中探しても存在しません)
ニチガ ホワイトテフ
テフは国内で購入すると少しお値段が高めになってしまうのがネックですが、そのなかでも最安値なのがニチガのホワイトテフです。南アフリカ、ジンバブエ産のテフを使用しており、残留農薬の検査もしていますので安心して食べることができます。
コスパが一番良いのはニチガのものですので、日常的に食に取り入れたいということであればこちらがおすすめです。
おすすめのテフ 全粒タイプ(ブラウン)
ブラウンタイプのテフは白色のテフより鉄分が豊富に含まれています。
巣鴨のお茶屋さん山年園
南アフリカ産の無添加・グルテンフリーのテフです。ニチガのものより少し単価が高くなってしまうのがネックですね。
10袋セットを購入すればニチガのものとそれほど変わらないお値段となりますが、1度もテフを買ったことがないという方は使い切れなくなる可能性がありますので、1〜2袋をまず購入して試してみるのがおすすめです。