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今更だけどヴィーガンとベジタリアンの違いって何?
近年食文化の多様化から、レストランのメニューなどで「ヴィーガンメニュー」「ベジタリアン向け」などの文字を見る機会も増えました。
「ベジタリアンは野菜しか食べない人?」「ならヴィーガンは…?」なんて疑問をもっている方も多いのではないでしょうか?
今回は、ヴィーガン(ビーガン)とベジタリアンの違いについて、ご紹介したいと思います!
ベジタリアンとは
まずは日本人でも比較的耳にする機会の多いベジタリアンですが、ベジタリアンは様々なタイプの菜食主義者の総称を指します。
様々なタイプというのは、ベジタリアンの中でも食べられる食材の基準が異なるためです。
例えば、卵は食べられるオボ・ベジタリアン、乳製品は食べられるラクト・ベジタリアン、卵・乳製品どちらも食べられるラクト・オボ・ベジタリアンといいます。中には動物肉は食べないけれど、魚は食べられるノンミートイーターといったタイプのベジタリアンもいます。詳しい区分けは下部にリスト化してありますので、そちらをご覧ください。
海外のレストランなどでは「ベジタリアン向け」と「ヴィーガン向け」は明確に区別されています。「ベジタリアン向け」と表記されている場合は、ラクト・ベジタリアンやラクト・オボ・ベジタリアンを指すことが多いです。では一体ヴィーガンとは何なのでしょうか?
ヴィーガンとは
ヴィーガンとは、卵や乳製品を含む動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」のことです。「ピュアベジタリアン」と呼ばれることもあります。
先ほど紹介した通り、ベジタリアンの中には卵や乳製品を食べる方もいます。一方、ヴィーガンは動物性食品をいっさい口にしません。乳製品やはちみつもNGです。
つまり、ヴィーガンは最も厳格なベジタリアンということになります。
また、ヴィーガンの中には食生活だけでなく、毛皮などの商品も一切所持しないなど、衣食住の生活全てにおいて動物性の使用を避ける「エシカル・ヴィーガン」というタイプもいます。
関連記事:『オーガニックとロハス、エシカルの違いって何?』
ベジタリアン・ヴィーガン 食べられないもの比較表
様々なベジタリアンやヴィーガンの食べられないものについてまとめると以下の表の通りです。
こちらのサイトにわかりやすくのっていたので、参照しました。
名称 | 特徴 | 肉 | 魚介類 | 卵 | 乳製品 | 蜂蜜 | 毛・革 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ノンミートイーター | 動物肉は食べないが、動物の皮・油・血や魚介類・卵・乳歯品は食べる人。 | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
セミ・ベジタリアン | 一般の人よりも食べる肉の量が少ない人。 時々ベジタリアンになる。 | △ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ペスクタリアン(ペスコ・ベジタリアン) | 工業的に作られた食品を避ける人。 野菜や魚は天然物を食べ、卵や乳製品も工業型畜産でないものなら食べられる。 オーガニック志向。 | × | △ | △ | △ | △ | ◯ |
オボ・ベジタリアン | 植物性食品と卵を食べるベジタリアン。 卵は無精卵に限って食べるという人もいる。 | × | × | ◯ | × | ◯ | ◯ |
ラクト・ベジタリアン | 植物性食品と乳製品を食べるベジタリアン。 | × | × | × | ◯ | ◯ | ◯ |
ラクト・オボ・ベジタリアン | 植物性食品と卵・乳製品を食べるベジタリアン。 欧米に多いタイプ。 | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
オリエンタル・ベジタリアン | 肉・魚介・卵・蜂蜜を食べないだけでなく、ネギやにんにくなどの五葷と呼ばれる野菜を食べないベジタリアン。 | × | × | × | △ | × | ◯ |
マクロビオティック(マクロビアン) | 基本的に動物性のものは使用しない。ただし、食べてはいけないものに厳格な決まりはない。 | × | △ | × | × | △ | △ |
フルータリアン | 収穫によって植物を殺さない食べ物だけを食べる。 熟して落ちた実しか食べない人もいる。 | × | × | × | × | × | △ |
リキッダリアン | 水などの液体食、スムージーや青汁など植物性流動食だけを摂る断食法のひとつ。 | × | × | × | × | × | ◯ |
ダイエタリー・ビーガン | エシカル・ビーガン同様、植物性食品のみを食べるが、衣料品などでは動物性の使用をこだわらない人。 | × | × | × | × | × | ◯ |
ビーガン (エシカル・ビーガン) | 肉・魚介・卵・乳製品・蜂蜜を一切摂らず、植物性食品のみを食べる人。食事だけでなく、衣食住全てにおいて動物性のものを使用しない。 | × | × | × | × | × | × |
ベジタリアンやヴィーガンの注意点・不足する栄養素は?
ベジタリアンやヴィーガンの生活をする上で、気にしないといけないのが栄養面です。特にカルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンB12などが不足しがちになります。
カルシウム
カルシウムは牛乳や小魚の骨などに多く含まれていますが、野菜だと小松菜に多く含まれています。カルシウムは吸収されにくい栄養素なので、食事から摂った分全てが吸収されるわけではありません。食品別にカルシウム吸収率を比較すると、牛乳40%、小魚の骨33%、野菜19%という数値になります。(参照:www.j-milk.jp)
そのため野菜からカルシウムを吸収しようとすると、牛乳よりはるかに摂取効率が悪く、カルシウムの必要量をベジタリアンやヴィーガンの生活で摂取できるのか疑問の声もあります。
鉄や亜鉛などのミネラル類
鉄や亜鉛などのミネラル類は、レバーなどの肉類や魚介類に多く含まれています。
鉄分は動物性食材に含まれる「ヘム鉄」のほうが植物性食材に含まれる「非ヘム鉄」より吸収率が高く、また玄米やライ麦に含まれるフィチン酸やお茶などにふくまれるタンニンが鉄の吸収を妨げてしまうので、ベジタリアンやヴィーガンが不足しがちな栄養素です。(参照:www.ils.co.jp)
鉄はビタミンCの多く含まれる野菜や果物を一緒に摂ることで吸収率があがります。しかし、やはり動物性食材よりも吸収率は低いので、鉄を含む食材を多めに摂取する、もしくはサプリで摂取するように心がける必要があります。(参照:www.taiyokagaku.com)
亜鉛もサプリメントで摂取できますが、鉄分同様に玄米やライ麦に含まれるフィチン酸などによって吸収を妨げられてしまいます。少しでも亜鉛の吸収率をよくするために、ベジタリアンやヴィーガンは、穀物を水に浸して発芽させ、フィチン酸を減らすことで亜鉛の吸収率を向上させています。
ビタミンB12
ビタミンB12は主に肉や魚介類などの動物性食品に多く含まれています。一方、野菜や果物、きのこ類にはほとんど含まれておらず、植物性食材だと海苔くらいしかありません。(参照:http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/vitamin_b12.html)
ビタミンB12は1日の推奨摂取量が2.4μgと少ないので、海苔やサプリメントで補えますが、逆に言えば、海苔もしくはサプリメントで摂取せずにベジタリアンの生活をすると必ず不足する栄養素です。
ベジタリアン・ヴィーガンが不足しがちな栄養素 | 主に含まれる動物性食材 | 植物性食材で摂取するには |
---|---|---|
カルシウム | 牛乳・小魚の骨 | 小松菜・ケール・ひじき |
鉄 | レバー・あさり | 海苔・アマランサス・パセリ・大豆・味噌 |
亜鉛 | 牡蠣・豚レバー・牛肉 | アマランサス・大豆・豆・ナッツ |
ビタミンB12 | しじみ・レバー・煮干し | 海苔 |
以上に挙げた栄養素は動物性食品に豊富に含まれており、植物性食品だけで十分な量の栄養素を摂れるのか、科学的根拠はまだありません。
ベジタリアンやヴィーガンの生活を実践するには、これら栄養素の不足をどのように補うかに注意する必要がありそうです。
実際にベジタリアンやヴィーガンの方たちは、不足しがちな栄養素はサプリメントなどで補っているようです。
ただしサプリメントで補うのにも限界があるので、思想的な問題がない限りは、植物性食材と動物性食材をバランスよく摂取するほうが栄養面での問題は少ないと言えます。
日本はベジタリアンやヴィーガンにとって過ごしやすい国?
ベジタリアンやヴィーガンに関心の高い方もいれば、「私はお肉大好きだから菜食主義なんて絶対無理!海外セレブの習慣でしょ!」と思われる方もいるでしょう。筆者もお肉が好きなので、菜食主義者ではありません。ですが、ベジタリアンの風習が実は日本にもあります。
精進料理はまさに日本のベジタリアンにぴったりの料理です。先ほどの区分け表で挙げた中だとオリエンタル・ベジタリアンの区分に一番近いです。
仏教の中で僧は殺生が禁止されていることから、肉食を禁じ、野菜や豆類、穀物類、海藻類などを用いて作られた料理です。肉・魚介類は使用しません。精進料理は菜食主義であるだけでなく「殺生をしない」という思想的な部分にもベジタリアンやヴィーガンに類似しています。
また精進料理に限らず、和食には野菜中心の料理が多く豆腐、納豆、味噌など、動物性のものより植物性のものが多く使われています。
このような理由から、実はベジタリアンやヴィーガンにとって日本は過ごしやすい国とも言えるかもしれません。
ただし、冒頭で、近年レストランなどで「ヴィーガンメニュー」「ベジタリアン向け」などの文字を見る機会も増えたとは述べましたが、見かけるのは健康志向のお店や専門店くらいで、日本ではヴィーガン・ベジタリアン文化が外食産業ではまだまだ根付いていません。
その一方で、海外ではレストランにベジタリアン向けやヴィーガン向けのメニューがあるところも多く、専門店も多いです。
日本のヴィーガンやベジタリアンは、自炊する分には工夫次第でバラエティの富んだ料理が作れるかもしれませんが、外食産業はまだまだ発展途上といえるでしょう。
いかがでしたか?
日本のヴィーガン・ベジタリアン向けの外食産業はまだまだ発展途上とは言いましたが、ヴィーガン・ベジタリアン向けの美味しいカフェや専門店も多数あります。
『東京にあるヴィーガンカフェ&レストラン11選』の記事ではヴィーガンカフェを『野菜たっぷり♡ヴィーガンにもおすすめの「ベジ餃子」を食べよう!』ではお肉を使わない餃子のお店、それぞれ紹介していますのでぜひご覧ください。