栄養抜群!コケモモ(リンゴンベリー)の食べ方、栄養価、クランベリーとの違いなどをご紹介します!

栄養抜群!コケモモ(リンゴンベリー)の食べ方、栄養価、クランベリーとの違いなどをご紹介します!
2018年1月15日 ローラン編集部
In フード全般

日本でベリーといえばブルーベリーやクランベリー、ラズベリーなどが思い浮かびますが、「リンゴンベリー」というベリーを知っていますか?北欧では伝統的な食材としてジャムやコンポートに使われていますが、実は最近高い栄養価が改めて認められ、スーパーフードとして世界中から注目されています。
今回はそんな知られざるリンゴンベリー(コケモモ)の食べ方から栄養価までじっくりご紹介したいと思います!

コケモモ(リンゴンベリー)って何?

Lingonberry
単刀直入に言うと、コケモモという木から生った実がリンゴンベリーです!
クランベリーやブルーベリーと同じスノキ属のコケモモは、スカンディナヴィア地域やアラスカ、北東カナダやロシア原産の広葉樹で、−40℃以下の極寒地でも育つほど耐寒性が高く、貧弱な土壌でも育つ強い木ですが、暑さには弱い木です。秋に葉を落とす広葉樹にも関わらず、冬でも葉を落とさないことが特徴です。日本では、北海道から九州の高山帯の草原や樹林帯に自生しています。

寒さに強いコケモモは、北欧を始めとするヨーロッパの寒冷地で自生しているため、ジャムやコンポート、ジュースとして地域の人々に親しまれてきました。ノルウェーなどの国ではトナカイやシカなどの肉料理に添えられることもあります!また砂糖が簡単には手に入らないような時代にはリンゴンベリーを水に漬けたものを代替品として使用していました。またビタミンC豊富なリンゴンベリーは、ビタミンCによって引き起こされる壊血病に対する民間医療として代々用いられてきました。

クランベリーとの違いは?

コケモモの実は丸く、ツヤがある5mmから12mm程の小さい赤い実です。葉の形や実の大きさなどが生薬のウワウルシに使われるクマコケモモや、クランベリーとして知名度が高いツルコケモモと良く似ており、間違いやすいです。
クランベリーの和名が「蔓苔桃(ツルコケモモ)」であるから分かる通り、同じツツジ科スノキ属の極めて近い兄弟です。クランベリーもリンゴンベリーと同じように寒冷地で育ちますが、クランベリーがアメリカ・カナダを中心に世界中で大量に栽培されているのに対し、リンゴンベリーは野生のものを利用する場合が多いため、クランベリーに比べたらリンゴンベリーは手に入れづらいと言えるでしょう。
どちらも生食にはあまり向かず、基本的には加糖しジャムにするなどの加工をした後に食されます。
栄養価は下の方で比較表を載せますのでお待ち下さい。
 
花は結構形が異なります。クランベリーの茎はツルコケモモの名の通り、蔓のようになっています。
コケモモの花とクランベリーの花比較

 

コケモモを英語で言うと?名前の由来は?

英語ではリンゴンベリー(Lingonberry)やカウベリー(Cowberry)と呼ばれることが多いですが、他にもフォックスベリーやビーバーベリーといった25種類以上の様々な名前で呼ばれています。
日本語の由来としては、樹高が10〜40cmと低く、地面をはうように成長する姿が苔のようであり、丸く赤い実は桃のようであることから「苔桃(コケモモ)」と言われるようになりました。また、アイヌ語が語源のフレップ(赤い実)とも呼ばれています。コケモモには、2亜種あると知られており、それぞれリンゴンベリーやカウベリーと呼び名が変わります。国や地域によってマウンテン・クランベリーやフォックスベリーなどの名前がありますが、同種の植物です。

リンゴンベリー:主な成分と栄養価

Lingonberry
リンゴンベリーはビタミンA(βカロテン)やビタミンE(αトコフェロール)、ビタミンCなどのビタミン類やマンガン、カリウム、カルシウム、リンなどのミネラルを含んでいます。
 
リンゴンベリーの特徴として、αアルブチンを含んでいることです。αアルブチンは、厚生労働省が美白成分として効果があると認可を受けている成分です。αアルブチンは、肌トラブルの元となるメラニン色素を生成するチロシナーゼという酵素を抑制します。最近では、コケモモエキスを配合したスキンケア用品を見かけます。

ビルベリーに多く含まれていることで有名なアントシアニンも含まれています。ただビルベリーに比べると含有量は7分の1程度となってしまいますので、アントシアニンだけで見るとビルベリーには勝てなさそうです。

栄養成分

リンゴンベリー
(生/100g)
クランベリー
(生/100g)
食物繊維 3.7g 4.6g
βカロテン
(ビタミンA)
21μg 36μg
αトコフェロール
(ビタミンE)
1.6mg
ビタミンC 11mg 13.3mg
カリウム 89mg 85mg
カルシウム 20mg 8mg
リン 16mg 13mg
マンガン 3.2mg 0.360mg

参照:
リンゴンベリー:www.foodcomp.dk
クランベリー:www.foodcomp.dk

ポリフェノール量

リンゴンベリーは様々な種類のポリフェノールを含有していることが大きな特徴です。ポリフェノールは抗酸化作用、美肌作用などが期待されます。
 

リンゴンベリー(生/100g) クランベリー(生/100g)
フラボノイド アントシアニン Cyanidin 3-O-arabinoside 5.85mg 4.47mg
Cyanidin 3-O-galactoside 48.69mg 8.89mg
Cyanidin 3-O-glucoside 1.42mg 0.74mg
Peonidin 3-O-glucoside 4.25mg 4.16mg
フラボノール Kaempferol 0.53mg
Kaempferol 3-O-glucoside 1.23mg 0.87mg
Quercetin 3-O-arabinoside 4.29mg 5.30mg
Quercetin 3-O-galactoside 13.22mg 10.81mg
Quercetin 3-O-rhamnoside 12.20mg 6.17mg
フェノール酸 ヒドロキシ酸 Caffeic acid 6.34mg 2.31mg
Cinnamic acid 4.12mg 0.16mg
p-Coumaric acid 3.93mg 1.08mg
スチルベン Resveratrol 3.00mg

参照:
リンゴンベリー:phenol-explorer.eu
クランベリー:phenol-explorer.eu

リンゴンベリーに肥満防止の効果がある?!

diet
スウェーデンにあるルンド大学の科学者チームが、リンゴンベリーに肥満を防止する効果があることを発見しました。研究では、太りやすい実験用マウスを高脂肪食グループ、低脂肪食グループ、そして対照群として等カロリー食グループに分けました。高脂肪食グループには、高脂肪食と2割をリンゴンベリー、クロフサスグリ、ラズベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ガンコウラン、プルーン、アサイベリーのいずれかの凍結乾燥されたベリーを餌として与えました。その他グループにはベリーを与えませんでした。
この3つのグループを13週間経過をみる実験をしました。
 
12週間目で、低脂肪食グループと高脂肪食+リンゴンベリーグループの総体重と脂肪率がほぼ変わらないという結果が出ました。リンゴンベリーを食べたマウスは、血糖値とインシュリンの測定値が低脂肪食マウスとほぼ変わらず、肝臓のコレステロール値と中性脂肪は全てのグループで一番低い数値がでました。
 
スーパーフードとして有名なアサイーベリーは、体重と肝臓脂肪の増加の結果がでました。研究チームは、アメリカやヨーロッパでは減量などの健康効果を謳って「スーパーベリー」として販売されていますが、本来原産国ブラジルではエネルギー補給源として食していているためだと考えています。
 
今後は、人がリンゴンベリーを食べたらどのような効果があるのかを研究するそうです。マウス実験では食事の2割をベリーにしていましたが、人の1日の食事をその割合で構成するのは現実的ではなく、目標はベリーを捕食として肥満予防や糖尿病を予防することと研究員は言っています。
www.hindawi.com
www.lunduniversity.lu.se

リンゴンベリーの味・食べ方

lingonberry jam
生のままのリンゴンベリーは酸味が強く、甘みはほんのりとしか感じられません。北欧は伝統的にジャムやパイのフィリング、ソースとして煮込むことが多いようです。また、シロップやゼリー、果実酒やジュースなどに加工するのも美味しいです。ただ、リンゴンベリーを熱で加工すると栄養素を壊すことになり、ジャムなどに加工すると砂糖を入れることになるので、冷凍してシリアルやヨーグルトにトッピングしたり、スムージーにする方が栄養を効率的に摂取できます。
リンゴンベリーには安息香酸が含まれています。安息香酸は、食品の腐敗や変敗する乳酸菌、酵母、カビ類などの微生物を発育を防止します。なので、リンゴンベリーはもともと賞味期限が長く、冷蔵保存でも3〜5週間程度保管できます。冷凍の場合、数ヶ月持ちます。北米のネイティブアメリカンは、リンゴンベリーが取れる時期に収穫し、冬場は外に置いておくことで冷凍保存していたようです。ただし、熟しすぎている実は保管せずに、販売、加工あるいは食べたほうが良いでしょう。





リンゴンベリーに摂取制限はあるの?

果物アレルギーがある方は、リンゴンベリーの摂取を控えてください。また、肝臓を損傷する可能性があるため、子供には長期的にリンゴンベリー原料の食品をあたえないでください。肝疾患がある方も摂取を控えてください。リンゴンベリーは妊婦や授乳中、妊娠を考えている人にどのような影響を与えるかはまだ研究中のため、摂取は避ける、あるいは医師にご相談ください。

リンゴンベリー製品はどこで購入できるの?

日本でコケモモは自生していますが、著しく少ない種として絶滅が危惧されている地域も多いです。鳥取県では「鳥取県希少野生動植物の保護に関する条例」によりコケモモは特定希少野生動植物種に指定されています。その他生息地のほとんどが自然公園法で国立公園などに指定され、動植物の捕獲、採取が厳しく保護されています。そのため、自分で育てている方以外は、リンゴンベリーを採取することができません。
 
生のリンゴンベリーを購入されたい場合は、コケモモを栽培されている農家を旬の時期にインターネットで検索することをおすすめします。リンゴンベリー製品は、加工されたものの方が流通しています。ジャムやドライフルーツはスーパーなどに置いてある可能性が高いです。様々な種類があるので、お好みの種類を探すのも楽しいと思います。
 
もちろん通販でリンゴンベリー製品を購入することもできます。珍しい冷凍リンゴンベリーや食品以外の化粧品などもインターネットで注文できます。以下にインターネットで注文できるコケモモ製品をご紹介したいと思います!

おすすめリンゴンベリー製品





ダルボ ワイルドリンゴンベリージャム

オーストリアのダルボのリンゴンベリージャムです。さっぱりとした味なのでジャムはもちろん、本場のように肉料理のソースとして使用するのもおすすめです。
リンゴンベリーの形がごろっと残っているジャムなので写真映えします。

biokiaリンゴンベリー濃縮ジュース

リンゴンベリーの濃縮ジュースです。ただ加糖もしてありますので、炭酸などで割って飲むのをおすすめします。

biokia ドライ・リンゴンベリー50g

フィンランド産のリンゴンベリーをフィンランド国内で加工したドライ・リンゴンベリーです。
白鳥マークのHYVÄÄ SUOMESTAはフィンランドで採れた食材をフィンランド国内で加工したものにのみ付けられるマークなので安心できますね。

biokia リンゴンベリー・パウダー30g

biokia リンゴンベリーパウダー 30g
こちらは同じくbiokiaの、リンゴンベリーをフリーズドライしたパウダーです。
スムージーなどに入れたいですね♪



自然自生種 北欧産 生冷凍ビルベリー・リンゴンベリー

iseebi-lingonberry
(画像引用:iseebi.org)
基本的に日本でリンゴンベリーを購入しようとした場合にはジャムがほとんどなので、リンゴンベリーそのものを味わってみたいという方におすすめです。ただ10袋8,800円で、バラ売りはしてないようなのが残念ですね・・・。
公式サイトから購入することができます。

オーガニック コケモモバター

コケモモバター
こちらは珍しいコケモモ由来のバターです。手作り石けんやリップなどの化粧品として使用するそうです。
こちらから購入することができます。

いかがでしたか?

栄養価豊富で世界中のセレブから注目され始めているリンゴンベリーをご紹介しました!
リンゴンベリーの商品はジャム以外日本だと手に入れづらいのが難点です!
いつかは北欧に行って自分の手で詰んだこけもも(リンゴンベリー)を食べてみたいものですね!