ラクダからとれる「キャメルミルク」がスーパーフードとして世界中でじわりじわりと話題になりつつあります!
日本人にとってミルクと言えば牛からとれる牛乳ですが、世界では地域によりヤギ乳、バッファロー乳など牛以外の家畜からとれるミルクも親しまれています。アルプスの少女ハイジでもヤギ乳を飲んでいるシーンがあるように、ヤギの畜産の盛んな地域ではヤギのミルクは一般的に利用されます。今回はそのような特殊なミルクの中でも砂漠地帯で飼われている「ラクダ」の乳について説明したいと思います。
目次
世界中でじわじわ広がるキャメルミルク
ラクダはもともと中東やアフリカ北部の砂漠地帯で生息していたものなので、現地ではラクダのミルクは比較的一般的なものでした。
ラクダの家畜化が一般化されている砂漠地帯以外でラクダのミルクが注目されはじめたのは2000年以降のごくごく最近の事です。元々ラクダを家畜化している西アジアや北アフリカの砂漠地帯で流通しているのはもちろん、最近ではアメリカやヨーロッパなどの先進国でも販売が始まってきています。
ヨーロッパ
EUではそれまでキャメルミルクの輸入を禁止していましたが、2013年にドバイを擁するUAEに輸入許可を与えました。UAEに本拠地のあるCamelicious(キャメリシャス)がイギリスやオーストリアで販売されています。
アメリカ
アメリカではラクダはほとんどアーミッシュ(独自のコミュニティで電子機器など現代の機器の使用をせず、自給自足の伝統的な生活をしているドイツ系の住人)により所有されており、その数はアメリカ全土で5000匹ほど。砂漠地帯の多いカリフォルニアを中心に飼われています。今アメリカ国内で流通しているキャメルミルクは殆どがカリフォルニア拠点の「Desert Farms」というブランドです。ホールフーズをはじめ、Amazonなどでも購入できます。
オーストラリア
Camel Milk Victoriaというブランドが2014年に認可され、生産をはじめています。
オーストラリアではまだキャメルミルクを生産するブランドは少ないですが、もともと砂漠の多いオーストラリアには1800年代に植民地開拓のためにラクダが持ち込まれており、それらのラクダは現在野生化し、現在100万匹のラクダが害獣扱いされ駆除されています。先進国の中では唯一「砂漠のある環境」「十分な数のラクダ」というキャメルミルクを大量生産する土壌が整っているので、官民一体化してうまく産業化したら世界最大のキャメルミルク輸出国になるポテンシャルを持っています。
気になる栄養価は?
キャメルミルクは牛乳と比べ栄養が豊富だそうで、砂漠で遊牧民として暮らすベドウィンはキャメルミルクだけで1ヶ月耐えられるとか。
全体的に見るとラクダの乳は低脂肪低カロリー。ビタミンは牛乳、ミネラルはキャメルミルクに軍配が上がるようです。ラクダはコブに脂肪を蓄えているイメージから高脂肪かと思いきや、低脂肪のようですね。
(100g当り) | ラクダ乳 | 普通牛乳(脂肪3.8%) | |
---|---|---|---|
カロリー | 45.8kcal (192kJ) | 67kcal(280kJ) | |
タンパク質 | 2.8g | 3.3g | |
脂肪 | 1.9g | 3.8g | |
炭水化物 | 4.6g | 4.8g | |
糖類 | 3.3g | 4.7g | |
コレステロール | 6.3mg | 12mg | |
ビタミン | ビタミンA | 27.5μg | 39μg |
ビタミンB2 | 0.1mg | 0.15mg | |
ビタミンC | 3mg | 1mg | |
ビタミンD | 0.25μg | 0.3μg | |
ビタミンE | 0.1mg | 0.1mg | |
ナイアシン | 0.7mg | 0.1mg | |
ミネラル | カルシウム | 148mg | 110mg |
鉄分 | 0.1mg | 0mg | |
マグネシウム | 6.7mg | 10 | |
リン | 62.5mg | 93mg | |
カリウム | 193mg | 150mg | |
ナトリウム | 62.5mg | 41mg | |
亜鉛 | 0.3mg | 0.4mg |
参考:SELFNutritionData
文部科学省 食品成分データベース
ただ具体的な数値を見てみるとそれほどスーパーな感じはしません。海外のキャメルミルクに関する記事を見ると「万能薬」のような感じで書いてありますが、ちょっと話を盛ってる感じはありますね。牛乳と較べて一長一短といった感じでしょうか。そもそも比較対象の牛乳も栄養価高いですからね。
国連食糧農業機関の報告によると「ビタミンCは牛乳の3倍、その他鉄分や不飽和脂肪酸も豊富」と書いてありましたが、よく見るとそもそも比較対象の牛乳がビタミンCの含有量はかなり少ないようです。野菜の手にはいらない砂漠地帯であれば貴重なビタミンC源かもしれませんが、ビタミンC豊富な野菜や海藻がすぐ手に入る日本人としてはビタミンCに魅力を感じるほどビタミンCは含有されていません。ブロッコリー1切れ分くらいですかね。
後述しますがキャメルミルクは価格が牛乳の10倍以上するので、現在の価格でわざわざ牛乳から切り替えるほどの魅力があるか?と言われると少し疑問が残ります。
参考:FAO(国連 食糧農業機関)
ビタミンCを摂取することを目的とするならば、日本だとカムカムのジュースやカカドゥプラムのパウダーなどのほうが効率的に手軽に摂取することができるのでおすすめです。
味は?
国内だと手にはいらないので確認はしていませんが、牛乳より少し塩っぽいようです。
脂肪分3.8%の普通牛乳に慣れている日本人には脂肪分1.9%のキャメルミルクは少し薄く感じるかもしれません。
キャメルミルクのオススメ商品
DESERT FARMS(アメリカ)
240ml 10米ドル(1,150円)
473ml 18米ドル(2,070円)
1米ドル=115円換算
アメリカのカリフォルニアに拠点を置くDESERT FARMSが販売しているキャメルミルク。
ロータイプの他に冷凍しているものも販売している。amazon.comを始めとしてホールフーズなどでも購入できる。
日本では販売していませんでしたが、粉タイプの物のみamazonで購入できるようになりました。ロンドンからの発送となるようなので少しお高めになっています。
Camel Milk Victoria(オーストラリア)
500ml 10豪ドル(850円)
1L 19豪ドル(1,615円)
1豪ドル=85円換算
2014年に創業した、オーストラリアのヴィクトリア州に拠点を置くキャメルミルクのブランド。メルボルンやシドニー、アデレードなどで購入できる。こちらは牛乳の代わりとしてギリギリ手を出せる価格ですかね。
Al Nassma(ドバイ)
Al Nassma(アル・ナスマ)はUAEのドバイに拠点を置く、キャメルミルクを使用したチョコレートブランド。ラクダ製品を積極に売り出そうと政府が立ち上げた。
ドバイの空港や町中などで購入可能。以前は日本でも日本橋三越で購入できたようですが、残念ながら撤退してしまったようです。
日本ではどこで買えるの?悲しい現実
残念ながらキャメルミルクの生乳は日本では手に入りません。
日本ではヤギやヒツジのミルクでしたらかろうじて入手できますが、乾燥地帯の少ない日本ではラクダの繁殖というのは難しく、更にキャメルミルクなどラクダに関連した商品に対する需要が少ないのでラクダを繁殖している酪農家というのはいないというのが現状となります。
以前はUAE発のキャメルミルクを使用したチョコレートブランド「アル・ナスマ」が日本橋三越に入っていたようですが、撤退してしまったようです。またイタリアのチョコレートブランドDOMORI(ドーモリ)もキャメルミルクを使用したチョコレートを国内で販売していたようですが、今は販売していません。
個人輸入で入れるにしても生ものですし、日本に住みながらキャメルミルクを日常生活に取り入れるというのはなかなか難しそうです。
アメリカやオーストラリア、ドバイなどに行った時に試してみましょう!
なおDesert Farmsの粉タイプの物のみ日本のamazonから購入できるようになりました。
海外からの発送となり、値段も少し高めとなりますが、最先端のものを生活に取り入れたいという方はとりあえず一度だけ試してみても良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
個人的な感想としてはアメリカやオーストラリアに住んでいたとしても、1L数千円払ってまで牛乳をキャメルミルクに切り替えるなら、そのお金で美味しくて栄養豊富なものを食べたいですね・・・。もっと価格が下がって手に入りやすくなったら良いですね〜。ラクダのファーマー達の躍進に期待しましょう!