アロニアってご存知ですか?普段あまり耳にしませんが、密かに人気を集めているアロニアは、健康や美容に効果をもたらしてくれる優れた食品です。今回はそんなアロニアの効果や食べ方などご紹介したいと思います。
目次
アロニアって何?
アロニアという食べ物に馴染みのない方は多いと思いますので、そもそもアロニアとは何かという説明をさせていただきます。
アロニアは、北アメリカが原産のバラ科の果樹で、チョークベリー(Chokeberry)とも呼ばれています。英語のChokeberryという名前は、渋抜きをせずに食べた場合にchoke(むせる)ことからチョークベリーという名前がつけられました。ブルーベリーに似た実をつけ、味もブルーベリーの様に渋みが強いのが特徴です。渋みを強く感じるのは、その分アントシアニンの含有量が多い証拠です。そのまま食べよりは、ジャムなど加工して食べられる事が多い果実です。
国内では主に北海道での生産が盛んで、日本で買える生・冷凍アロニアはほとんどが北海道産です。
アロニアの栄養素・効能
ではそんなアロニアにはどのような栄養素が含まれており、体に対する効果・効能はどうなっているのかを詳しく解説させていただきます。
アントシアニンが豊富!
アロニアにはアントシアニン(anthocyanin)という成分が多量に含まれています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、抗酸化物質です。ブルーベリー、ビルベリー、アサイー、プルーンなど、赤紫色の果実に含まれていることが多い物質です。また加工食品としては赤ワインなどに含まれています。
そんなアロニアの主成分であるアントシアニンの効果・効能を説明していきたいと思います!
アントシアニンは抗酸化物質
フラボノイドの一種であるアントシアニンは抗酸化作用もありますので、美容におすすめです。
またアロニアなど、抗酸化物質を豊富に含む抗酸化食品が老化を防ぎアンチエイジングに寄与するという説もありますが、今までの実験で直接有効だというデータは出ていませんので、効果があったらラッキーくらいの気持ちでいましょう。
糖尿病の予防改善
アントシアニンにはインスリン抵抗性を改善し、糖尿病予備群への予防、2型糖尿病に効果が見られるという実験結果が出ています(*1,2)
ただすでに糖尿病の方は医師とご相談の上摂取してください。
アロニアって視力に良いの?
アロニアに含まれているアントシアニンには残念ながら視力改善や目の疲れの改善・予防には効果がありません。
ブルーベリーやアロニアに多量に含まれているアントシアニンが目に良いとされたのは、第二次世界大戦中にドイツが自国のレーダー技術の進歩をカモフラージュするため、情報戦略として「ブルーベリーのおかげで空軍パイロットの撃墜率が上がった」というデマを流したのが発端だとされています。
さらに日本では結果を捏造した納豆ダイエットの報道で番組が打ち切りになった「あるある大事典」など著名な番組ででブルーベリーの効能がもてはやされたため、都市伝説のような形で話が広がっていくことになりました。
実際の所アントシアニンが眼精疲労や視力の回復に効くという論文は一切なく、今までに行われた実験はすべて噂を否定する結果となっています。「視力が良くなる!」という謳い文句の高額サプリに騙されないように気をつけてくださいね。
ただアントシアニンは暗順応、つまり暗い所で目が見やすくなる能力を向上させることは判明されています。ただこれも一時的な効果でしかないため、スイッチひとつで電気をつけれる現代においてはあまり意味を持たない効果と言えるでしょう。
アロニアはダイエット効果があるの?
ありません。単に「アロニアのサプリを飲んだら痩せる」というのはありえません。
『「高いサプリを買ったし、せっかくだから頑張らないと」という気持ちで運動し、運動量・消費カロリーが増えたため痩せた』、ということならありえますが、アロニアを食べたからといって体重が減るということはありえません。単純にサプリを飲んだだけで痩せるという主張は非科学的です。摂取したカロリー量が少し増えただけです。
もちろんダイエット名目で販売されているアロニアのサプリをご購入されるのは自由ですが、もしアロニアを飲んでいる期間にダイエットに成功したとしたら、それはご自身の努力の結果ですので、「アロニアのおかげで痩せた」ではなく、「痩せる努力をしたから痩せた!」と胸を張りましょう。
アロニアってどうやって食べるの?
アロニアはアントシアニンが多く含まれている事が特徴ですが、そのため渋みが強くそのままでは食べずらいのが難点です。
そのため加工品として出回ることが多く、普通は「ドリンク・ジュース」「ジャム」「パウダー・サプリメント」などの形で摂取することがほとんどです。ドリンクやジャムで買った場合の食べ方は説明する必要が無いと思いますので、生・冷凍のアロニアを購入した場合の利用方法を説明させていただきます。
生のアロニアを購入したら
スーパーで見かける事はほぼありえませんが、北海道の一部の農家さんが冷凍アロニアの栽培・直販を行っていますので、冷凍状態の生アロニアの購入も可能です。(サプリ・粉末状態ではないという意味の「生」です)
冷凍でしたら北海道四季工房さんのものが一番品質が安定していておすすめです。
そのまま食べる
当たり前と言っては当たり前ですが、一番簡単な食べ方はそのまま食べることです。ただやはりブルーベリーやラズベリーと比べてしまうと、生単品で食べた時の味は苦味が強く、「う〜ん」という感じになってしまいますので、甘みのある別のフルーツやはちみつと一緒に食べたりするのがおすすめです。
そのまま生で食べたい場合は渋抜きをしたほうが食べやすくなりますので渋抜きしましょう。冷凍→自然解凍を2~3回繰り返すと渋みが少なくなります。渋抜きをせずに食べる場合はハチミツを絡めると渋みが比較的気にならなくなります。
解凍してそのまま食べる場合は、ヨーグルトに入れる、パンケーキなどを作ったときのトッピングにするなどといった使い方もできます。
スムージーに入れる
こちらも普段からご自宅でスムージーを作っている方にとっては手軽にアロニアを摂取する事ができる方法です。渋抜きするかは届いたアロニアの渋さとどれくらいの量をスムージーに入れるかによります。
普段作っているベリー系のレシピをアロニアに置き換えてみるか、普段のレシピに+αでアロニアを5〜6粒加えるのがおすすめです。
ジャムを作る
アロニアの鉄板加工法としてはジャムが挙げられます。ただアロニアのジャムは市販されており、ご自宅でアロニアを栽培しているという方以外にはあまりおすすめできません。まだ一般的な食品とは言えないアロニアの実は冷凍ものだとしても安くはなく、コスト的にかなり高いジャムとなってしまいます。
果実酒を作る
梅酒のような感じでアロニアの果実酒を作ることも可能です。梅酒と同じレシピで作って問題ありませんが、生のアロニアは冷凍ものがほとんどなので、一度解凍し、水分をよく拭き取った上で作りましょう。水分をしっかり拭き取らないとカビてしまう可能性が高いです。
また個人的なおすすめはブランデーで作るフルーツ・ブランデーです。もともと果実の蒸留酒であるブランデーにアロニアの香りと栄養が溶け出す上に、味も非常に美味しく仕上がります。またアルコール度数が焼酎より高いため、カビが発生し果実酒作りが失敗する可能性が低くなるというメリットもあります。
ブランデーは高いもので漬ける必要はなく、サントリーのV.Oあたりが安くで購入でき、コスパ的にもおすすめです。V.S.O以上のブランデーで漬けるのは少し勿体ないかなと思います。
レシピは以下のような配合ですが、お好みによって量を前後させてください。
・アロニア 400g
・ブランデー 640ml
・氷砂糖 50g
3ヶ月ほど経ったら飲み頃です。また梅酒もそうですが、アルコール度数20度未満のお酒で漬けると酒税法違法になってしまうため注意しましょう!
気を付けたいこと
アロニアには特に副作用はなく安心して食べて頂けますが、過剰摂取には気を付けましょう。過剰摂取によって栄養バランスが偏ってしまいます。適度に食べる事をおすすめします。また血圧の薬や何らかのお薬を飲まれている場合は、相互作用を起こす可能性がありますのでかかりつけのお医者さんに相談してみてください。
妊婦の方や授乳婦の方は摂取に注意しましょう
妊娠中の方や授乳中の方がアロニアに多数含まれているアントシアニンを摂取すると胎児の動脈管早期収縮を引き起こす可能性があります。(*3)
ジャムをパンに塗って食べる程度でしたら問題はありませんが、パウダータイプのアロニアでスムージーなどを作ったりするとアントシアニンの摂取量が多くなりがちなので必ず医師とご相談の上摂取するようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、アロニアについて紹介させていただきました!
ジャムや果実酒にしたり色々な方法で食べる事ができるので、飽きずに続けられそうですね。是非、試してみてください♪
参考:
(*1)Role of Purified Anthocyanins in Improving Cardiometabolic Risk Factors in Chinese Men and Women with Prediabetes or Early Untreated Diabetes-A Randomized Controlled Trial.(link)
(*2)Purified anthocyanin supplementation reduces dyslipidemia, enhances antioxidant capacity, and prevents insulin resistance in diabetic patients.(link)
(*3)Prenatal effects of maternal consumption of polyphenol-rich foods in late pregnancy upon fetal ductus arteriosus.(link)