お盆の飾り付けとして知られているホオズキに、食べられる種類があるのは知っていますか?食用のホオズキは、ゴールデンベリー(インカベリー)の名で世界中でスーパーフードとして知られています。
目次
ゴールデンベリー(インカベリー)とは
食用ホオズキの中にも様々な種類がありますが、ここではゴールデンベリー(インカベリー)で知られている学名Physalis peruvianaという種を紹介します。ゴールデンベリーはブラジル原産のナス科ホオズキ属の植物です。「ベリー」という名前がついていますが、分類上ナスやトマトに近いです。また、ゴールデンベリーは観賞用ホウズキ(学名: Physais alkekengiなど)とは違う種類です。
ゴールデンベリーは霜に弱く、0℃以下になると枯れてしまいます。温暖な地域で育ちやすいため、温帯地域では一年生で熱帯地域では多年生な植物です。外部の支えなしで高さ1m前後まで伸びるゴールデンベリーは貧土で手をかけなくとも育ち、野生に広がるのが早いので、ブラジルの隣国のペルー高地やチリでも成長し、開拓民によってイギリスや南アメリカ、オーストラリアやニュージーランドでも栽培されるようになりました。
ゴールデンベリーの乾燥した袋の中の鮮やかな黄色、あるいはオレンジ色のビー玉程度の大きさの実が可食部です。生のゴールデンベリーはミニトマトのような食感で、実の皮は気にならないほど薄く柔らかいのでそのまま食べれます。甘みと酸味を凝縮したようなフルーティーな味で、そのまま食べたり、ドライフルーツやジャムに加工されます。
ゴールデンベリー:主な成分と特徴
ゴールデンベリーは、その小さな実の中に栄養がバランス良く含まれています。鉄分やカルシウムなどのミネラルも含まれている他、ビタミンB類やビタミンCが多く含まれています。ゴールデンベリーは、ミニトマトより食物繊維が多いです。また、抗酸化作用のあるポリフェノールやイノシトールが豊富で、カロテンやアスコルビン酸などのビタミンと一緒に体内で働いてくれます。
栄養分
ゴールデンベリーパルプ(100g中) | ミニトマト(100g中) | |
水分 | 78.9g | 91.0g |
タンパク質 | 0.05g – 0.3g | 1.1g |
脂質 | 0.15g – 0.2g | 0.1g |
炭水化物 | 19.6g | 7.2g |
食物繊維 | 4.9g | 1.4g |
灰分 | 1.0g | 0.6g |
カルシウム | 8.0mg | 12mg |
カリウム | 55.3mg | 290mg |
鉄分 | 1.2mg | 0.4mg |
カロテン | 1.6mg | 960μg |
チアミン (ビタミンB1) |
0.1mg | 0.07mg |
リボフラビン (ビタミンB2) |
0.03mg | 0.05mg |
ナイアシン | 1.70mg | 0.8mg |
アスコルビン酸 (ビタミンC) |
43.0mg | 32mg |
ゴールデンベリーに摂取制限はあるの?
ゴールデンベリーにアレルギー反応の報告はありませんが、ナス科の植物なので、ナスアレルギーの方は注意して摂取してください。
また、妊婦、妊娠初期、妊娠を希望している人もゴールデンベリーを食べれますが、身体にどのような影響があるかの詳しい研究がされていないので、かかりつけの医師に相談してから食生活に取り入れることをおすすめします。
ホオズキの地下茎と根には酸漿根(さんしょうこん)という生薬名があります。酸漿根ヒストニンという子宮の緊縮作用を起こす成分が含まれていることから、平安時代からは鎮痛剤、江戸時代では堕胎剤として利用されていました。妊娠中の女性が服用した場合に流産の恐れがあるので、妊婦の方は実の部分以外は食べないよう注意してください。
ゴールデンベリーはどういう使われ方をするの?
ゴールデンベリーは生でも加工しても美味しいので、様々な料理に使えます。生のままサラダ、ケーキ、ピザへのトッピングや肉料理の付け合せにできるため、食用ホオズキはフランス料理や料亭、温泉旅館でも料理として出されます。
またゴールデンベリーはしばしばソースやジャム、ドライフルーツに長期保存目的で加工されます。日本国内で一番流通されているドライゴールデンベリーはドライのゴールデンベリーでしょう。
おすすめのゴールデンベリー
食用ホオズキは日本国内でも購入できます。夏から秋にかけて、生のホオズキを販売している農家が多いです。ですが、食用ほおずきが普段から食されているヨーロッパほどは日常に密着していない(=購入できる場所が少ない)ので、日本で確実に購入したい場合はインターネットで注文することをおすすめします。
国内ではゴールデンベリーは基本的にはドライフルーツとして販売されています。ドライのゴールデンベリーは女性にも食べやすく、なぜかはまってしまう味のせいか日本でもかなり定着してきました。
なおゴールデンベリーのパウダーはあまり見かけません。他のスーパーフードだとパウダー状のものも多いのですが、ゴールデンベリーはドライになってもかなりしっとりしているので、おそらくパウダー状にするのは向かないのだと思います。
ドライ・ゴールデンベリー
ドライゴールデンベリーは大変注目を浴びているので、自然食品店などの店頭で販売していることがありますが、同じくスーパーフードであるキヌアなどに比べたらまだまだ知名度は低いので入手しやすいネットで購入するのがおすすめです。
ただ小分けのものはコスパが悪く、100〜150gで1200円程度が相場となっています。
またゴールデンベリーを食べたことがあり、リピートでの購入であれば500g〜1kg入っているお徳用の購入がおすすめです。
なぜなら1kgで3500〜4000円ほどが相場となっており、単価が圧倒的に下がるからです。大体以下くらいですね。
小分け: 1000円 / 100g
お徳用: 350円 / 100g
ドライゴールデンベリーの賢い選び方
クランベリーなどは砂糖漬けにするためブランドによって味がかなり変わる(各社処理が違う)のでブランドにこだわったほうが良いですが、ゴールデンベリーは取れたベリーをそのまま乾燥するだけのナチュラルな仕上げのためブランドによって味の違いは殆どありません。
どちらかというとペルー産・コロンビア産という産地の違いによる味の違いのが多いのではないでしょうか。どちらも食べてみて好きな方を継続して購入するのが良いと思います。
「値段」・「産地」・「オーガニック」かどうかという点で選ぶと良いでしょう。
生の食用ほおづき
また国内の農家さんも少数ですが食用ほおずきを栽培しており、生の実の状態でほおずきを販売していることが時たまあります。
こちらは基本的にはネットなどでは販売されず、マルシェなどに並んでいることが多いです。
食用ほおずきの旬は8月〜10月となりますので、もし生のゴールデンベリーを食べてみたくなった場合は、これらの時期にマルシェや自然食品店、百貨店などを巡ってみると良いでしょう
小ネタ
ゴールデンベリーの別名たち
日本では主にゴールデンベリーという名前ですが、南米では「インカベリー(Inca berry)」「Cape Gooseberry(ケープグースベリー)」、「Aztec Berry(アステカベリー)」、ハワイでは「Poha(ポハ)」、コロンビアでは「Uchiva(ウチュバ)」など多様な名前で世界中で親しまれています。ヨーロッパや南アメリカで栽培するために輸出された際に様々名称がついたと言われています。
米国学術研究会議が作成した書物「The Lost Crops of the Incas: Little-known Plants of the Andes With Promise for Worldwide Cultivation」(和訳:インカの失われた作物)の中では、Goldenberryという名称でゴールデンベリーはインカの失われた作物として書かれています。