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手軽に入手でき美味しいスーパーフードとして注目を浴びている!
ほうれん草は、身体の機能を正常に保つ上で非常に役立つ栄養豊富なスーパーフードと言っても過言ではありません。年中見かけるほうれん草は、どういう野菜なのか紹介します。
ほうれん草は近年その高い栄養価が再注目され、アメリカやヨーロッパではスーパーなどで手軽に手に入るスーパーフードとして扱われいます。
ほうれん草の原産地は?
ほうれん草は漢字で「菠薐草」と書きます。「菠薐(ほうれん)」は、ほうれん草の原産地であるペルシャ(現在のイラン)のことです。ほうれん草は、イスラム教徒の聖地巡礼により東西に伝わりました。東へと渡った東洋種のほうれん草は、江戸開幕の頃に中国から日本に入ったため、中国の野菜「唐菜(からな)」と呼ばれました。
ほうれん草は旬の時期のが栄養素が多い!
日本での消費量も増え、各地で栽培されているため、年中手に入るようになりました。今では青菜の代表とも言える野菜のひとつです。ですが、ほうれん草の旬は秋から冬にかけてです。朝晩の寒暖の差が、野菜に甘みを与え、栄養量を上昇させます。そのため、旬の時期に食べるほうが栄養が多く、ほうれん草の場合冬の方が夏よりビタミンCが3倍近く多いといわれています。
アメリカではポパイのおかげでほうれん草の消費量が6倍に
ほうれん草というと、アメリカの有名なキャラクターのポパイを思い出す方もいるのではないでしょうか。恋人のオリーブがピンチになると「ポパイ助けてー」と呼び、ポパイがポケットからほうれん草の缶詰を取り出します。食べるととたんに筋肉が増えて強くなり、悪者を追い払うという設定で毎回話が進みます。ポパイは、ほうれん草の高い栄養価値から、消費量を増やすために作られたのではなく、全米ベジタリアン協会という組織の「宣伝キャラクター」でした。菜食主義を全米に広めるためには、大衆に親しまれるのが一番と、会員の実業家たちが資金を出し合い、多くの漫画家やイラストレーターに試作を描かせ、ポパイが出来上がりました。アメリカ人が皆菜食主義になった訳ではありませんでしたが、ほうれん草の需要が10年間で6倍にも増えたそうです。
ほうれん草の主な成分と特徴は?
ほうれん草は葉物の野菜の中でもビタミンやミネラル、食物繊維など様々な栄養を含んでいるため、「総合栄養野菜」と評されています。ほうれん草はβカロテン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンKなど多様なビタミン含んでいることで知られています。βカロテンとビタミンB2は皮膚や体内の粘膜の健康維持や目のトラブルに有効的です。βカロテンとビタミンCの相乗効果で、肌荒れ防止やかぜ予防に効果的です。ビタミンKは、出血を止める効果があります。
ほうれん草はカルシウム、カリウム、ヨウ素、マンガンなどのミネラルを含んでいます。また、妊娠中に必要な鉄分と葉酸が含まれています。ほうれん草に含まれている鉄分は、植物由来の非ヘム鉄です。非ヘム鉄は体内に吸収しにくく、良質なタンパク質やビタミンCが豊富な食材と一緒に食べることで吸収率を上げれます。
ほうれん草は食物繊維が多いです。食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする、便秘の改善をする、満腹感を与えるなどの効果があります。
また、ほうれん草には抗酸化作用をもつポリフェノール成分の一つであるルチンを含んでいます。ルチンは心臓病や動脈硬化、高血圧など生活習慣病の予防、血圧や血糖値の降下作用、すい臓機能の活性化があると言われています。ルチンはビタミンC の吸収と体内の維持を長くし、また一緒に働いて毛細血管を強化したり、血流をスムーズにする効果があります。
ほうれん草(生/100g) | 小松菜(葉/生/100g) | にんじん(根/皮つき/生) | |
炭水化物 | 3.1g | 2.4g | 9.1g |
タンパク質 | 2.2g | 1.5g | 0.6g |
脂質 | 0.4g | 0.2g | 0.1g |
食物繊維総量 | 2.8g | 1.9g | 2.7g |
βカロテン
(ビタミンA) |
4200μg | 3100μg | 9100μg |
αトコフェロール
(ビタミンE) |
2.1mg | 0.9mg | 0.5mg |
ビタミンK | 270μg | 210μg | 3μg |
ビタミンB1 | 0.11mg | 0.09mg | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.20mg | 0.13g | 0.04mg |
ビタミンC | 35mg | 39mg | 4mg |
葉酸 | 210μg | 110μg | 28μg |
カルシウム | 49mg | 170mg | 28mg |
鉄 | 2.0mg | 2.8mg | 0.2mg |
カリウム | 690mg | 500mg | 280mg |
ヨウ素 | 3μg | 2μg | – |
マンガン | 0.32mg | 0.13mg | 0.10mg |
ほうれん草にはシュウ酸が含まれているため下処理必須
ほうれん草はシュウ酸が含まれているため、茹ででから食べなさいとよく言われます。下処理をせずほうれん草を食べシュウ酸を摂取しすぎると、腎臓結石や尿路結石を起こす原因になります。シュウ酸が単体で体内に入ると、小腸で吸収され、血管を通って腎臓へ運ばれます。腎臓にはカルシウムが多く、シュウ酸とカルシウムが結合し結晶になります。この結晶は腎臓結石とよばれ、徐々に大きくなり、尿管に入ってしまうと尿路結石になってしまいます。
ほうれん草の適切な下処理は?
ほうれん草の下処理によって、シュウ酸の量を抑えることができます。シュウ酸は水に溶け出すので、調理する前に水にさらす、あるいはお湯で茹でこぼすだけでもある程度取り除けます。また、シュウ酸はカルシウムと一緒に取ると、あらかじめ結合した状態で体内に入るので、シュウ酸が小腸で吸収されません。また、日常からカルシウムを摂取することで、尿路結石の予防になるとされています。腸の中でカルシウムとシュウ酸が結合し、そのまま排出されるので結石にならないからです。ほうれん草のお浸しはカツオ節と一緒に食べることが多いと思いますが、カツオ節はカルシウムが豊富なので、理にかなった食べ方なのですね。
日常的にシュウ酸を含んだ食材をキロ単位で食べないかぎり、そこまで神経質になる必要はないと感じます。また結石の出来やすさに個人差があるので、ご自分の身体と相談をして、どれくらいがご自分のほうれん草の摂取適量かを判断することが重要だと思います。
どういうほうれん草の種類があるの?
ほうれん草は、大きくわけると東洋種と西洋種、交配種の3種類があります。
東洋種
東洋種は葉がキザギザで薄く、切り込みが多い種類です。根元は真っ赤で、典型的なほうれん草の形をしています。西洋種に比べてアクが少なく食感が良いため、日本人好みな野菜です。中国より渡ってきた品種です。
西洋種
西洋種は葉が丸く、肉厚であり、根元は淡い赤みをしています。明治時代に外国からさまざまな西洋種のほうれん草が輸入され、より多種の栽培が活発になりました。アクが強く、食味はとても良いとはいえませんが、東洋種よりも収穫量があり暑さに強いため、栽培に適しているとされている品種です。
交配種
交配種は、明治時代に輸入された西洋種と日本で古来育てられてきた東洋種と交配した品種です。交配種には様々な種類が存在し、機械で播種でき茎が立って育つので収穫しやすく、肉厚大葉で多収できる農家にとって栽培しやすいものがあります。その代わり、栄養価が昔と比べて下がっているといわれています。現在は西洋種と交配種が盛んに栽培されています。
ベビースピナッチと呼ばれているサラダ用ほうれん草も販売されています。「スピナッチ(spinach)」は英語で「ほうれん草」のことで、ほうれん草の幼葉の事を呼びます。
ベビースピナッチは柔らかく、クセが少ないため、生で食べれるほうれん草です。
鮮度の高いほうれん草の選び方は?
葉が全体的に肉厚で張りがあるものが、鮮度が高いほうれん草です。葉や根が大きくて色味が濃く、鮮やかなものが栄養豊富だと言われています。茎が細長く、葉が小さいものは旨味がかけます。
ほうれん草の食べ方
ほうれん草は、生で食べる、炒める、茹でる、煮るなど様々な調理方法があります。和食、中華、イタリアンなど様々な料理スタイルに合う万能な野菜です。
ほうれん草の根元や葉に土がついていることが多いです。特に根元は、しっかり土や砂を落とすことで口触りがよくなります。シュウ酸と硝酸塩が気になる方は、調理を始める前にボウルに水をため、水を出し続けながら5分くらいほうれん草をさらし、その後振り洗いをするといいです。水を流し続けて洗うことによって、農薬や化学物質が再度ほうれん草につくのを防ぎます。ほうれん草を調理する際には、加熱しすぎに気をつける必要があります。加熱しすぎると色が変わり、味や食感が落ち、ビタミンCなどの栄養素が抜けます。強火でサッと調理することがコツです。茹でるときは、たっぷりのお湯で素早く調理すると食感や栄養素を失わずにアク抜きができます。
ほうれん草の食べ合わせ
ほうれん草は肉類と一緒に食べると、カロテンや鉄分の吸収を高めます。ただし、ベーコンとほうれん草の炒め物はおすすめしません。体内でほうれん草の硝酸塩が変化し、亜硝酸になり、それがべーコンのタンパク質分解物と反応し、発ガン物質が生成されることがあります。さらにベーコンに含まれるリン酸が、ほうれん草の鉄分とカルシウムの吸収を妨げてしまいます。この場合、事前にベーコンを茹でてから炒めると、栄養の吸収が阻害されることがなくなります。また、ビタミン類が豊富な他食材を一緒に食べることも効果的です。
ほうれん草は、玄米やごまなどの穀類や大豆などの豆類と一緒に食べるのを避けた方が良いです。玄米やごま、豆の外皮にはフィチン酸という成分があり、鉄分の吸収を妨げてしまうので注意が必要です。ほうれん草とゆでたまごも注意が必要です。ゆでたまごの硫黄成分がほうれん草の鉄分の吸収を妨げ、吸収しづらくなってしまいます。スクランブルエッグとほうれん草の食べ合わせは問題ありません。
ほうれん草の保存方法
新鮮な状態で保管をするには、湿らせた新聞紙やキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れ、立てて冷蔵庫に入れます。2〜3日程度は鮮度を保てます。4〜5日保管をする場合は、下茹でをして根元を切り、水気を絞って冷蔵庫にいれます。長期間保存をする場合は、固めに茹ででから適当な大きさに切り、冷凍保存しましょう。
ほうれん草に摂取制限はあるの?
ほうれん草を食べてアレルギー反応がでることがあります。ほうれん草のアレルギー症状は主に湿疹、痒みなどが皮膚にでます。一部の重症な場合は、下痢や吐き気、嘔吐などの症状が現れます。加熱調理済み、野菜ジュース、煮汁でもアレルギー反応が出ることがあるので、注意が必要です。
ワーファリンを服用している方は、ほうれん草の摂取量に注意してください。ほうれん草にはビタミンKが多いため、ワーファリンの血液をサラサラにする効果が弱まることがあります。
腎臓結石がある方は、ほうれん草の摂取を控えてください。ほうれん草のシュウ酸によって、結石が拡大する可能性があります。
乳幼児や妊婦の方はほうれん草を食べて良いの?
硝酸塩が多いほうれん草を乳幼児に与える場合は、量に注意してください。
乳幼児は、体内で亜硝酸を作りやすいので、メトヘモグロビン血症になる可能性があります。
妊娠初期や妊婦は、ほうれん草を食べても大丈夫です。ほうれん草は多様な栄養素を含んでおり、また足りてないと胎児に影響が出る葉酸を含んでいるため、積極的に食べることを心がけると良いです。ただし、ほうれん草ばかりを食べると偏食になってしまいますので、様々な食材をバランスよく摂取する必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
ほうれん草は、スーパーや八百屋さんで購入出来ます。年中販売されていますが、秋から冬が旬といわれており栄養素も増えるので寒い時期に手に入れると良いでしょう。ベビースピナッチは、海外でよく食べている野菜なので、コストコなどで大きい容量のものが売っています。
年中手に入る食材だからこそ、食生活に気軽に加えられるスーパーフードを食卓に一品増やしてはいかがでしょう。